オフショア開発企業インタビュー
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【第2回】ベトナムオフショア拠点設立・・・思わぬ落とし穴とは?
アイ・ティ・シーグループ
古川 浩規氏

アイ・ティ・シーグループ

古川 浩規氏

文部科学省で科学技術行政等に従事したのち、平成20年に株式会社インフォクラスター、平成22年にJapan Computer Software Co. Ltd.(ベトナム・ダナン市)を設立。
情報セキュリティコンサルテーション、業務系システム構築、オフショア開発を手掛けるほか、日系企業のベトナム進出に際して情報システム構築や情報セキュリティ教育等を行っている。
資格等:日本セキュリティ・マネジメント学会 正会員、情報セキュリティアドミニストレータ、日本・ベトナム文化交流協会理事

この度は、本サービス「オフショア開発.com」にもご掲載いただいている「アイ・ティ・シーグループ」様の古川浩規氏にベトナムオフショア開発の裏の裏についていろいろとお話をお伺いしました。
期間限定でインタビューの内容を連載させていただきます。

皆さんが知ったつもりでいるベトナムの実情や、ベトナムオフショア開発の現状は本当に正しい情報でしょうか?
実際に現地でオフショア開発をされていらっしゃる古川氏のお話を基に、オフショア開発を導入される企業様にとって有益な情報を発信できればと思っております。

今回は連載第2段!
ベトナムでのオフショア開発をご検討企業様はぜひ一度ご覧ください!

▶前回のインタビュー記事はこちら
 ⇒ 【第1回】親日でも安心できない?オフショア開発で人気急上昇のベトナム人と付き合う方法とは?

ベトナムで会社設立する上での第一歩は?

オフショア開発.com:最近ではベトナムでオフショア開発をする企業が増えているように思いますが、そのあたりいかがでしょうか?

古川浩規氏:そうですね。「オフショア開発.com」でのお問合せの中でもベトナム人気は上昇傾向にあると思いますが、実際に、ハノイ、ダナン、ホーチミンの各市にある日本人商工会は、いずれも加盟団体数が大きく増えており、一般的な傾向としても日本企業のベトナムへの進出は非常に活発になっています。

そう語るのは、この度、記事を連載していただいているベトナムオフショア開発会社のアイ・ティ・シーグループ 古川浩規氏。

古川浩規氏:ベトナムオフショア開発を実際に活用し、それなりにコストダウンに成功した企業は「試しに始めてみたオフショアが思いのほか好調だった」「社内方針で中国拠点を縮小し、代替拠点を立ち上げることになった」といったことから、ベトナムへの本格的な進出準備を考えることが自然な流れにも思います。

また、ベトナム政府はIT産業を奨励投資分野に指定しており、IT企業に対して投資優遇を準備していることも、追い風と言えるでしょう。多くの読者の皆様に関連すると思われる「ソフトウェア、プログラムの開発」「ソフトウェアサービスの提供」は、最上位の「投資特別優遇分野」に指定されており、税金などの優遇措置が受けられます。

自分で情報収集する必要があるのはなぜ?

オフショア開発.com:とはいえ、今のような情報も、毎月、日本とベトナムを行き来されている古川さんだからこそ得られる情報なのではないですか?なかなか自分で情報収集するのは難しいようにも思いますが?

古川浩規氏:投資証明書の取得方法を含めた手続きについては、日本語でも詳細な資料が無料で手に入ります。例えば、JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)が公開している「ベトナム会社・駐在員事務所設立マニュアル 」や「はじめてのベトナム進出2012~中小企業に覚えておいてほしいベトナム投資の心得~」といった資料は、一読の価値があります。また、日本企業の誘致により積極的で、近年、新しい投資先として注目を集めているハイフォン市やダナン市では、日本語の公式ホームページを持っており、この中で手続きについての情報を公開しているケースもあります。

いまは日本の政府機関も情報公開に積極的ですので、活用しない手はありません。また、このような基礎的な情報を持たずにベトナムに「視察」にいらっしゃる日系企業も多いようで、ベトナム企業からは「日系企業は見に来るだけで何も勉強していない。NATO (No Action, Talk Only)だ。」とこぼされてしまうことすらあります。

オフショア開発.com:前回のインタビューでもお話しいただいた内容に繋がるわけですね。

古川浩規氏:はい、前回にもお話させていただきましたが、「分からないから専門家に任せる」ことで一安心とするのではなく、「可能な限り自分で情報収集して事に当たる」ことが重要なのです。

情報収集の方法についてわざわざ触れるのには理由があります。私の経験上、現地の専門家や申請先の公的機関でも、必要書類や登記可能な場所の誤認などの誤りが発生する可能性が高いためです。

どこの国にも善人と悪人がいるように、ベトナム進出を図る日系企業を食いものにしようとする企業や個人がいることも事実です。同じ日本人として残念ですが、ベトナム滞在歴が長い在留邦人の中でも、評判の悪い者がいるという噂もあります。自分自身が投資に関する一連の手続きを把握しておかなければ、このような悪徳業者から、「次は、○○の申請が必要だから、追加で資金が必要」といった連絡に、言われるがままに支払いをしてしまうなどのトラブルに巻き込まれないとも限りません。「次の手続きは今の手続きに含まれているはずだ」、「○○ではなく△△なのでは?」といったやり取りが交わせる最低限の知識が必要です。

ベトナムに拠点設立後が勝負!

オフショア開発.com:設立後が大変ということでしょうか?

古川浩規氏:というよりも、そもそも会社設立が目的ではないということです。ベトナムでの会社設立は、企業様にとってはあくまでも手段でしかないはずです。

日本国内での手続きとベトナム国内での手続きを終え、投資証明書が発行されたとしても、会社運営はようやくスタートラインに立ったばかりです。各種手続きはまだまだありますし、「人の問題」「商品(事業)の問題」についても考えなければなりません。

オフショア開発.com:なるほど。日本での会社経営とも大きく異なりますものね。

古川浩規氏:そうですね。ベトナムのIT業界では、自己のスキルアップのために、日本では想像できないほど頻繁に転職を行います。従業員の転職率が年間20%になることも珍しくありません。そのため、どの地域が自社に適しているかを調べるために、いきなり現地法人を設立するのではなく、駐在員事務所の開設からスタートさせるというやり方も考えられます。「商業の街だから、ホーチミン市へ」という考え方もありますが、当然、競合他社も多く存在しますので、人材定着や人材募集で苦労するかもしれません。そこで少し視点を変えて、取引相手が「北部の会社なのか、南部の会社なのか」「社長は、北部の出身なのか、南部の出身なのか」に注意を払い、それぞれの地域の雰囲気を探ってみることも面白いでしょう。

ベトナム オフショア開発企業

アイ・ティ・シーグループ


アイ・ティ・シーグループは今注目されているベトナムのダナン市を中心にオフショア開発をしており、1994年からという長年の実績とキャリアを持つシステム開発会社です。
安価で高品質なシステム開発はもちろん、Pマークの準拠、情報セキュリティ専門スタッフの配置など、セキュリティにも積極的です。ぜひお気軽にお問合せ下さい!

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