オフショア開発(海外にシステム開発をアウトソースしコスト削減する開発手法)に特化したポータルサイト『オフショア開発.com』(URL:https://offshore-kaihatsu.com/ )では、2013年1年間の問い合わせを集計し、オフショア開発先の国別特徴を分析いたしました。こちらの結果と併せて2014年のオフショア開発トレンドについて予測をいたしましたのでお知らせいたします。

◆大型案件なら中国、スマホアプリ開発ならベトナム

今や一般的となった海外でシステムやスマホアプリの開発をアウトソースする開発手法「オフショア開発」ですが、下記は、2013年のオフショア開発ポータルサイト『オフショア開発.com』へのお問い合わせの各開発カテゴリを国別に集計したグラフとなっております。

【中国オフショア開発】:大型のシステム開発案件が集中

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中国は基幹系システムや情報系システムなどソフトウェア開発案件が割合として一番多く、次いでWebシステム開発や組み込み系開発となっております。逆にスマホアプリ開発やFacebookアプリ開発など、単発では小規模に値する案件の割合は少なくなりました。
それなりの規模の案件を継続的に発注する際に中国オフショア開発を活用する企業が多く、特に業務系の案件には人気があります。
オフショア開発として歴史が長い中国では沿岸部を中心に人件費が上がり(大連や上海では平均賃金がこの6年で2倍近く増加(*1))、なかなかコストメリットが出にくくなってきていると言われています。そのため人件費が比較的安価な、内陸部である武漢や西安、成都、重慶などにオフショア開発拠点を移行する流れもあります。
*1:JETRO 中国の地域別労務環境

【ベトナムオフショア開発】:小中規模案件に人気

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ベトナムはスマホアプリ開発が一番人気となりました。特に小中規模案件に人気で、単発案件でも対応できるオフショア開発企業が多いのが特徴です。またスマホアプリ開発に特化したオフショア開発会社が多いのも特徴で、様々な案件に対応するというよりは、ピンポイントの案件に強いのがベトナムオフショア開発の傾向です。
ベトナム人は真面目で親日で、中国よりも人件費が安いということで、最近では特に人気を集めており、スマホアプリはもちろんながらコンシューマ向けのWebシステム開発やFacebookアプリなどもアウトソースする企業が増えております。

◆デザインはフィリピン、バランスに優れたインドネシア

【インドネシアオフショア開発】:バランスの取れた開発先

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インドネシアでもベトナム同様スマホアプリ開発が一番人気となりました。またWebシステム開発やCMS構築・移行などの案件にも人気が集中しました。他国と比べインドネシアは比較的どの案件ジャンルにも対応でき、ベトナムと同様バランスの取れた結果となりました。
インドネシアは2億4千万人というマーケットの大きさと、Facebookやモバイル普及率が高いこと、あと英語での対応も可能という点で注目を集めているオフショア開発先になり、インドネシアをターゲットとしたアプリ開発なども増加傾向にあります。

【フィリピンオフショア開発】:デザインに強み

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フィリピンオフショア開発で特徴的なのが、コンシューマ向け案件が集中していることです。右図ではスマホアプリ開発やWebシステム開発、ソーシャルゲーム開発などが人気ですが、ソーシャルイラスト制作の割合も比較的高く、デザインを海外へアウトソースする流れも今後増加していくのではないかと考えられます。
またフィリピンは英語が公用語というところも一つの特徴で、BPOサービス(コールセンターや画像加工など)の割合が高くなっています。

◆インドはエンジニアリング系、ミャンマーは未開続く

【インドオフショア開発】:技術力の高いオフショアが特徴

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インドオフショア開発の特徴はやはりエンジニアの技術力が高い点です。そのため、エンジニアリング系や組み込み系など技術を要する案件が多くなっています。右図では半数近くがソフトウェアやWebシステム開発案件が占め、組み込み系の割合が比較的高い結果となっています。
またインドは英語圏ということもあり、英語版のローカライズ案件なども他国より多いのが特徴です。ただインドは12億人以上の人口を有しているが、インドネシアと違いその市場をターゲットとしたシステム開発というのは少ない結果となりました。

【ミャンマーオフショア開発】:インフラ整備が急務!

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ミャンマーオフショア開発の人気は一時期に比べ減少傾向にあります(2011年問合せ割合より2%減)。一時期はミャンマー人気でミャンマーに視察に行かれる企業が多かったが、ITインフラ環境がまだ未整備という理由でうまくミャンマーオフショア開発を活用できている企業は少ないようです。とはいえ、ITインフラ環境さえ整備できれば、その人件費の安さからもミャンマーオフショア開発の将来性は明るいと考えられます。ただ大型のシステム案件というよりはスマホアプリ開発やBPOサービス(データ入力や画像加工など)に人気が集中しています。

◆2014年以降のオフショア開発のトレンドは、やはりベトナム

オフショア開発人気国として3年連続1位となったベトナムの人気は2014年以降も続くと予想されます。理由は前回のプレスリリースでも触れましたが「親日」・「真面目」・「安い」の特長を抑え、バランスが取れているためです。とはいえ、上述しているように国によって案件の得手・不得手があり、その場に応じたオフショア開発先を選定することがオフショア開発成功のカギとも言えます。
例えば、大型案件でセキュリティもしっかりしており、人員を数多くアサインしないといけない場合だとどの国が最適なのか。十分に検討する必要があります。
2014年以降もベトナムと中国の人気は続くと予想されます。ただ各国のオフショア開発の特長を捉え、フィリピンやインドネシア、インド、タイ、ミャンマーなどオフショア開発先としてどの国を活用するのかが重要になってきます。

『オフショア開発.com』では、オフショア開発の動向を引き続き注視してまいります。