それぞれの特徴は?AWS・Azure・GCP 3大クラウド比較!

公開日:2022/03/03 最終更新日:2023/08/14

それぞれの特徴は?AWS・Azure・GCP 3大クラウド比較!

クラウド比較記事のトップ画像

現代のWebシステム開発はクラウド活用が主流となっており、そういったシステム開発の多くが、3大クラウドとも言われる「AWS(Amazon Web Services)」「Azure(Microsoft Azure)」「GCP(Google Cloud Platform)」を活用しています。

このテキストでは、「AWS」「Azure」「GCP」それぞれの特徴や強み、メリットやデメリットといった基礎知識だけでなく、活用事例なども詳しく解説していきます。

INDEX

1. そもそもクラウドコンピューティングとは?

2. クラウドサービスのトレンド

3. なぜクラウドの導入が進んでいる?

4. AWS(Amazon Web Services)の特徴

5. Azure(Microsoft Azure)の特徴

6. GCP(Google Cloud Platform)の特徴

7. AWS / Azure / GCPの比較

8. マルチクラウドという選択肢も

9. まとめ

そもそもクラウドコンピューティングとは?

クラウドとはユーザーがソフトウェアを持たずにインターネットを経由してデータベースやストレージ、アプリケーションなどを使うことができるものであり、それらのサービスをクラウドサービスと言います。

 

クラウドコンピューティングとは、クラウド上にあるコンピュータリソースを利用することです。2006年にGoogleのCEOであったエリック・シュミット氏が提唱したことで注目度が上がりましたが、Amazonのクラウドサービス「AWS(Amazon Web Services)」が登場したのもこの年です。

 

2008年にGoogleが、2010年にはMicrosoftがそれぞれのクラウドサービスをスタート。現在の3大クラウドが出揃いました。

 

従来は開発を行う際にはサーバーやネットワークなどを用意しなければいけませんでしたが、クラウドコンピューティングならインターネット経由でそれらを得ることができます。環境を整えるのにかかっていた初期費用が大幅に削減され、システムをリリースするまでの時間も短縮されるように。現在はシステム開発になくてはならない存在となりました。

 

|クラウドの種類(SaaS、IaaS、PaaS)

 

クラウドには3種類あり、それぞれSaaS、IaaS、PaaSと呼ばれます。

 

SaaS(Software as a Service)はアプリやソフトウェアをクラウド上で動作させるものです。GmailやDropboxなどが代表的なサービスです。

IaaS (Infrastructure as a Service)とはシステムのインフラを、PaaS (Platform as a Service)はアプリの開発環境をクラウド上で提供するものであり、IaaSの代表的なサービスは「Google Compute Engine(GCE)」「Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)」であり、PaaS の代表的なサービスが今回解説する3大クラウド「AWS」「Azure」「GCP」です。

 

クラウドについては、オンプレミスとの違いについても解説している下記の記事も参考になりますので、ぜひご一読ください。

* 参考記事:「クラウドとオンプレミスの違いと比較|クラウド移行のポイントも解説

 

|クラウドコンピューティングの仕組み

 

ネットワークを経由してコンピュータリソースを利用するという技術自体は1950年代から存在しており、実はクラウドコンピューティング自体は新しく生まれた技術ではありませんが、全世界の誰もが簡単に利用できるオープン標準の技術となったことで、2000年代に一気に普及が加速しました。

 

クラウドコンピューティングを実現する上で重要な仕組みが「仮想化」です。仮想化とは複数のハードウェアをソフトウェアで統合し、1台のサーバーを複数のサーバーのように使うことができる技術です。これによって仮想サーバーごとにCPUやメモリを振り分けることができ、それぞれをユーザーごとの独立したサーバーとして提供することができます。

 

|クラウドコンピューティングのメリット

 

クラウドコンピューティングのメリットは、何といってもすぐに始められること。自社でサーバーなどの環境を整える必要がなく、契約さえすれば即開始できます。初期費用をおさえられ、開発もスピーディーに行うことができるのは大きなメリットですね。

 

インターネット環境さえあれば、端末を問わないのも嬉しいポイント。自社でサーバーを運用する際に容量を増やすのは設備的にも予算的にも大変なことですが、クラウドコンピューティングならプランを変更すればすぐに利用量を増加させることができますし、反対に減らすことも可能です。

 

|クラウドコンピューティングのデメリット

 

自社で細かいカスタマイズをしたい、というときにどうしても限界があるのがクラウドコンピューティングのデメリットの一つです。すでに出来上がったサービスを利用するため、自由度が低いと感じる方もいるようです。

 

システムの連携にも注意が必要です。クラウドコンピューティングが連携しているシステムの中に自社が利用しているシステムが含まれているかを確認しておかないと、利用してみて実は連携できなかった、ということにもなりかねません。

 

また、クラウドコンピューティングの提供が終了した場合はサービスを利用できなくなってしまう可能性がある、というのもデメリットの一つです。

クラウドサービスのトレンド

この項では、クラウドサービスに関するトレンドやニュースについてご紹介します。

 

|クラウド導入企業の割合

 

総務省が情報通信分野における産業の現況や政策の動向などを取りまとめた年次刊行文書「情報通信白書」の令和2年度版によると、2019年には6割を超える企業がクラウドサービスを利用しており、年々クラウドサービスを利用する企業の割合は増え続けています。

 

* 参考:「令和2年版 情報通信白書

 

|3大クラウドのシェア

 

Canalysの調査によると、2021年第1四半期における3大クラウドのシェアはAWSがトップで32%を占めています。2位のAzureは19%、3位のGCPが7%。3大クラウドのシェア合計は約6割となっています。

 

|AWS好調でAmazonは大幅に増益

 

Amazonの2021年10〜12月期の決算は、1株利益が市場予想の8倍になるなどして大幅に利益を伸ばした形となりました。これはAWSの売上が好調であることから投資家の期待が高まった結果とも言われ、クラウドコンピューティングのトップシェアを誇るサービスとして、今後さらなる成長が期待されています。

 

|総務省「AIを用いたクラウドサービスに関するガイドブック」を公表

 

2022年2月15日、総務省はクラウドサービス事業者がAIを用いたクラウドサービスを開発・提供する際に留意すべき事項をまとめた「AIを用いたクラウドサービスに関するガイドブック」を公表しました。

このガイドブックはAI機能を用いたSaaSを開発する際の注意事項について記載されたもので、利用者からの信頼獲得とトラブル発生を防止するためのさまざまな事項について書かれています。


* 参考:「AIを用いたクラウドサービスに関するガイドブック

なぜクラウドの導入が進んでいる?

クラウドを利用する企業が年々増えていることは前述した通りですが、なぜクラウドの導入が急激に進んだのでしょうか。

 

|多くの企業がクラウドの効果を実感

 

総務省発表の「情報通信白書」の令和2年度版によると、クラウドサービスの効果を実感している企業は85%以上となっており、利用している理由としては「資産や保守体制を社内に持つ必要がない」という返答が最も多く、導入の手軽さやコスト削減をメリットとして実感している企業が多いようです。

 

そのほかにも利用している理由として「場所や機器を選ばずに利用できるから」「安定運用・可用性が高くなるから」という意見も多く、先に挙げたクラウドのメリットによって多くの企業がクラウドを利用し、効果を実感しているという結果になりました。

 

利用していない企業の利用しない理由は「必要ない」というものが多く、今は利用していない企業でも今後は必要に応じて利用する可能性が高いとも言えます。

 

では、次の項では3大クラウドそれぞれの特徴について解説します。

AWS(Amazon Web Services)の特徴

Amazonが提供しているクラウドコンピューティングシステムAWS(Amazon Web Services)は、前述したようにクラウドサービスのトップシェアを誇るサービスであり、世界中で多くの企業やユーザーに利用されています。

 

初期費用は不要。従量課金制の料金体系で、透明性の高い価格設定を売りの一つとしています。無料期間も用意されているため試しやすいのが嬉しいポイント。新技術などでコストダウンがなされた際には値下げしてユーザーに還元するというのも人気の理由の一つです。

 

|AWSの強み、特長

 

AWSの強みは拡張性に特に優れているところです。システムの拡張はサイト上の簡単な設定を行うだけ。わずか数分で拡張が可能です。政府や金融機関が利用するほどの高いセキュリティも大きな強みです。

 

|AWSのメリット

 

透明性の高い価格設定や継続的な値下げ、拡張性など多くの強みがあるAWSはサービスの種類も豊富であり、自社に合ったサービスが見つかりやすいのが大きなメリットです。

 

|AWSのデメリット

 

サービスやメニューが多いのがAWSの強みではありますが、それゆえに選定する担当者がそれなりの知識と選定基準、設計のノウハウを持っていることが必須となります。

 

安定性が大きなメリットとされていたAWSですが、最近は大規模障害が相次いだことで不安を感じたユーザーも多いようです。

 

|AWSで提供しているサービス

 

AWSは複数のクラウドサービスの総称であり、提供しているサービスは2021年9月時点で222と非常に多いため、全てを解説することはできませんが、代表的なサービスには仮想レンタルサーバー「AmazonEC2」やマネージドタイプのデータベースサービスである「RDS」といったものがあります。

 

|AWSの導入事例

 

トップシェアを誇るAWSは、大手企業、中小企業といった企業の規模だけでなく、政府機関や金融機関と業種も多岐に渡ります。ANAやNTT東日本、東急電鉄やリコー、シャープなど、多くの企業がAWSを活用しています。

Azure(Microsoft Azure)の特徴

Microsoftが提供するクラウドコンピューティングサービスが「Azure(Microsoft Azure)」であり、PaaSとIaaSを統合したサービスです。

AWSやGCPに比べて後発ながらシェアを大きく伸ばしており、その伸び率はAWSの1.5倍近くとなっています。

 

|Azureの強み、特長

 

Microsoftが提供するサービスであるため、Microsoft製品と親和性が高いのがAzureの大きな特長です。WindowsやOfficeといった製品は多くの企業で使われているため、これらの製品を中心とした環境からクラウド移行がしやすいというのが強みです。

 

3500名ものセキュリティ専門家に対策を依頼するなど、セキュリティ対策にも力を入れています。

 

料金はAWSと同じく基本的には従量課金です。

 

|Azureのメリット

 

Microsoft製品との親和性が高く連携や統合が簡単にできることはすでに解説しましたが、Azureを導入する一番の強みでありメリットでもあります。また、Azureは日本の法律を準拠法としており、管轄裁判所は東京地裁裁判所であるため、日本企業にとって安心して利用できる点も大きなメリットと言えるでしょう。

 

|Azureのデメリット

 

仮想マシン(VM)を選ぶ際の自由度がAWSよりも低く、起動速度が遅いというのがAzureのデメリットです。

 

|Azureで提供しているサービス

 

さまざまなサービスが提供されているAzureですが、Azure上に仮想サーバーを構築する「Azure Virtual Machines」やMicrosoft SQL Serverがエンジンとなっているデータベースサービス「Azure SQL Database」、ビッグデータ分析サービス「Azure Synapse Analytics」など多くのサービスがあります。

 

|Azureの導入事例

 

NTTドコモやニトリホールディングス、バリューコマース株式会社、十和田市現代美術館など、幅広い企業に利用されています。

GCP(Google Cloud Platform)の特徴

GCP(Google Cloud Platform)はGoogleが提供しているクラウドコンピューティングサービスであり、自社でもこのサービスをインフラとして利用しているため、GCPを利用するということはGoogleの技術を使って開発をする、ということになります。

 

無料トライアルと無料枠という、無料で利用できる仕組みも用意されており、試しやすいのも嬉しいところ。

 

AWSやAzureと同じく従量課金制です。

 

|GCPの強み、特長

 

AI分野のサービスが充実しているのがGCPの大きな特長であり、急激なアクセス増加にも耐えられる安定したインフラ環境も強みの一つです。セキュリティレベルも高く、第三者認証を受けるなどの対策を行っています。

 

|GCPのメリット

 

ネットワークのスピードと安定性に定評があるのがGCP。ネットワークのスピードが速いのは大きなメリットです。強みで解説した、AI分野に強いというのもメリットの一つでしょう。

 

|GCPのデメリット

 

GCPは日本語の情報が少なく、基本的には英語で提供されています。英語が苦手、という方にはハードルが高くなってしまうサービスです。

また、データセンターが設置されている独立したエリアのことを「リージョン」と言いますが、GCPはリージョンがまだまだ少ないと言われており、障害発生時の対応などに注意が必要です。

 

|GCPで提供しているサービス

 

完全マネージド型のMySQLサービス「Cloud SQL」や完全マネージド型のビッグデータ分析サービス「Big Query」、マネージド型の機械学習モデル「Cloud Machine Learning」など、さまざまなサービスを提供しています。

 

|GCPの導入事例

 

テレビ朝日や日本生命保険相互会社、株式会社マイナビ、みずほ銀行や、ユニクロでお馴染みの株式会社ファーストリテイリングなどがGCPを活用しています。

AWS / Azure / GCPの比較

ここまで、AWSとAzure、GCPの特長やメリット・デメリットについて解説してきました。どのクラウドコンピューティングサービスを使うべきかは開発の目的や自社の環境など、さまざまな要因によって異なってきますが、オンプレミス環境ですでにWindows Serverベースのサーバーを利用している企業や、Microsoft製品との連携を考えているならAzureはそれらとの親和性が高いため、利用しやすいでしょう。

 

機械学習モデルを簡単に構築したい、ビッグデータの解析がしたいという要望ならGCPがおすすめですが、英語が苦手な人には向いていません。

 

AWSは万能型でさまざまな用途に活用できる多くのサービスが揃っています。日本語のサポートが充実しているのも嬉しいところ。まずはAWSを選択肢に入れ、目的に応じてその他のクラウドコンピューティングサービスと比較して選択するとよいかもしれません。

マルチクラウドという選択肢も

3大クラウドそれぞれにメリット・デメリットがあるのはおわかりいただけたと思いますが、どれか一つを選ぶのではなく、マルチクラウドという選択肢があります。3大クラウドはAPIを公開しているため、連携して利用することもできるのです。

 

では、マルチクラウドのメリットとデメリットも見ておきましょう。

 

|マルチクラウドのメリット

 

3大クラウドそれぞれにある強みを存分に活かすことができるのがマルチクラウドの大きなメリットです。それぞれの得意分野ごとに先進的なサービスを提供しているクラウドを活用できるため、できることが広がります。

 

|マルチクラウドのデメリット

 

マルチクラウドにおけるデメリットは、複数のサービスを利用することでコストがかさんだり、運用が煩雑になってしまったりすることです。システム全体のセキュリティ基準が統一されていないことで、セキュリティレベルの統一が難しくなるというデメリットもあります。

 

|マルチクラウドの活用事例

 

ZOZOTOWNはAWSをベースに、ビッグデータの分析のためにGCPを利用するマルチクラウド活用を行っています。

NTTドコモは3大クラウドを事業ごとに最適なものを選択できる環境を整えています。どのクラウドを選択してもセキュリティレベルが一定に保てる工夫をしているのだとか。

星野リゾートはホテル管理システムPMSをAWSに移行する計画を立てており、Googleドライブを利用したいという社員のニーズに応えてGCPも利用する予定のようです。

クラウド活用のデメリット/リスク

AWSの大規模障害は大きな話題となりました。SNSでは「スマートスピーカーが使えなくなって部屋の明かりが消せない」といった声も。

 

クラウドサービスのデメリットとして、サービス停止の際に使えなくなることを挙げましたが、障害などでもシステムが使えなくなってしまうのは恐ろしいことですよね。サービスの安定性についてはじゅうぶんに確認して検討すべきでしょう。

 

そのほか、セキュリティリスクについても十分な確認が必要です。すでに解説したとおり、マルチクラウドで活用する際にはセキュリティレベルの統一が大きな課題となりますので、そういった面も考えてどのように活用するのかをしっかり見極めることが必要です。

まとめ

2006年に登場し、一気にWebシステム開発の主流に躍り出たクラウドコンピューティング。現在はAWSがトップシェアを誇りますが、Azure、GCPのシェアも増えており、今後トップが入れ替わることもじゅうぶんに考えられます。さまざまな特徴のあるクラウドコンピューティングは、比較する際にどれを選べばいいかわからない、という方も多いことでしょう。

 

「オフショア開発. com」では、専門コンシェルジュに海外へのアウトソースについて無料で相談することができます。「適切なクラウドコンピューティングを選んでくれる担当者が欲しい」「AWSに精通した技術者をグローバルに確保したい」「AIを活用したWebシステムを開発したい」…など、さまざまなお悩みやご質問・ご相談にお応えいたします。

 

「オフショア開発. com」は、多数のオフショア開発企業とパートナー契約を結んでおります。御社にぴったりのオフショア開発企業を無料でご紹介することもできますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ユーザーサムネイル

オフショア開発.com 編集部

日本最大級の「オフショア開発」専門の発注先選定支援サービスとして、オフショア開発に関するご相談やお問合せを日々、承っております。


企業選定にお困りでしたら、オフショア開発. comの専門スタッフが無料相談を受け付けておりますので、お気軽にご利用ください。

このページを見た人は以下の記事も見ています。(関連記事)