最終更新日:2025/10/17
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単体テストが完了したプログラム同士を結合させて動作確認を行うのが結合テストです。
単体では問題が見つからなかったプログラム同士が、組み合わせることで思わぬ不具合を発生させることがあります。そうした問題を事前に発見し、修正するための重要な工程について理解を深めておきましょう。本テキストでは結合テストの基礎知識、実施時のポイントや注意点などについて解説します。
結合テストとは
結合テストとはシステム開発におけるテスト工程の一つであり、それぞれ単体でのテストが完了したプログラム同士を結合させ、連携させた時の動作確認を行うテストです。開発したプログラム同士だけでなく、外部システムとの連携を確認することもあります。
結合テストは、機能ごとに別々に開発されたプログラム同士を、組み合わせた状態でも問題なく動作するか、どのような組み合わせでも正常に動作するかなどを確かめる重要な工程です。個別には問題なくても、組み合わせて初めて分かる不具合があるため、省略できない工程となっています。
システムテストについてはこちらに詳しく解説しています。
https://www.offshore-kaihatsu.com/contents/general/system-testing/
単体テストとの違い
システムテストには段階があり、それぞれ検証する内容が異なります。
単体テストは、プログラムの最小単位であるモジュールや関数レベルで動作を検証するテストです。機能ごとに開発されたそれぞれのプログラムが正確に機能するかを確認し、不具合やバグを早期に発見します。
製造業で言うと、部品一つ一つの不具合を確認する工程であり、部品を組み立てた上でテストを行う結合テストよりも前の段階で行うテストです。
目的別の結合テスト
結合テストにはいくつかの種類があり、それぞれ違う観点から品質を検証します。この項では6種類の結合テスト、「機能テスト」「インターフェーステスト」「シナリオテスト」「セキュリティテスト」「ロードテスト」「ユーザビリティテスト」について解説します。
①機能テスト
機能テストとはアプリケーションやソフトウェアにおける個々の機能が仕様通りに動作することを確認するテストであり、結合テストだけでなく、単体テストにおいても機能テストは存在します。
事前に定義した要件との間にギャップがないか、エラーはないかなどをチェックします。機能テストは手動で行うこともありますが、近年では自動化ツールを活用するケースも増えています。
想定されるトラブルへの対処が適切に組み込まれているか、エラーが発生した際の復旧処理が正しく動作するかも検証対象となります。
②インターフェーステスト
インターフェーステストは、モジュール同士を連携させたときの動作を検証するテストです。プログラムやモジュールが連携した際に正しく動作するかを確かめる、結合テストの基本となる検証作業です。
モジュール間でやり取りされるデータが正しい形式で送受信されているか、必要な項目がすべて渡されているか、処理のタイミングにずれがないかなど、連携時に起きやすい問題を調べます。
③シナリオテスト
シナリオテストは、日常業務で行われる一連の操作を順番に実行し、業務が問題なく完了することを検証するテストです。業務シナリオテストとも呼ばれます。
通常の操作手順だけでなく、間違った操作や予想外の使い方をした場合の動作もテストするため、どんな状況でも安定して動くシステムを目指すことができます。
④セキュリティテスト
システムの弱点を見つけ出し、悪意のある攻撃への耐性を検証するテストがセキュリティテストです。情報漏洩や不正アクセスを防ぐため、事前に問題点を発見して対策を施します。
見つかった弱点は危険度に応じて優先順位を付け、順番に対策を実施してシステムの安全性を高めていきます。パスワードの総当たり攻撃への耐性、不正なデータ入力への対処、権限を超えた操作の防止など、さまざまな攻撃手法への防御力を確かめます。
⑤ロードテスト
ロードテストでは、多くの利用者が同時にアクセスした場合のシステムの動作を検証します。負荷テストとも呼ばれるこのテストは、利用者が集中した状態でもシステムが止まらずに動き続けることを確かめるためのものです。たとえば通勤時間帯や月末など、アクセスが集中しやすい時期を想定した検証が必要です。
通常時の負荷での動作確認、限界性能の測定、長時間運転での安定性チェックなど、さまざまな角度から性能を評価し、システムの処理速度低下や停止といったリスクを事前に把握します。
⑥ユーザビリティテスト
アプリケーションやソフトウェアが、ユーザーにとって使いやすいインターフェースやデザインになっているかどうかを確認するテストがユーザビリティテストです。一般的に、実際のユーザー層に近い参加者や、実際のユーザーに試してもらうことが多いテストであり、ユーザーテストと呼ばれることもあります。
利用者に特定の作業をしてもらい、その様子を観察することで、どこで迷うか、どんな間違いをするか、何に困るかを把握します。作業中の観察と終了後の聞き取りを組み合わせることで、改善が必要な箇所を明確にします。
実施時のポイント・注意点
結合テストを効果的に実施し、手戻りを防ぐためには、いくつかの注意点があります。ここでは「スケジュール管理のポイント」「テストデータの管理方法」「テスト環境の構築」について解説します。
スケジュール管理のポイント
結合テストで想定外の問題が起こることもあるため、問題の修正に時間がかかってもスケジュール全体に影響しないよう、あらかじめ余裕を持った計画を立てることが大切です。
原因の特定から対策の実施までに時間がかかるような不具合が見つかることもあるため、モジュール間の認識のずれ、テスト環境のトラブル、顧客からの急な仕様変更依頼への対応など、さまざまな理由で遅延が発生することを見込んで、柔軟に対応できる体制を整えておく必要があります。
テストデータの管理方法
単体テストでは行われることがあるのですが、データベースを直接編集してテストデータを作ることは、結合テストでは避けるべきです。
結合テストは複数のプログラムを連携させて行う、単体テストよりも複雑なテストであるため、データベースを直接いじると、データの整合性が崩れたり、他のテストで使うデータを壊したりする危険があります。最悪の場合、テスト結果が信用できなくなり、すべてやり直しになることもあります。
テスト環境の構築
実際に使われる環境と違う条件でテストを行うと、本番で起きる問題を見つけられない可能性があります。使用する機器の性能、ネットワークの構成、ソフトウェアのバージョンなど、できるだけ実際に使われるのと同じ環境を用意することが必要です。
外部システムとの接続、セキュリティの設定、データの量など、細かい部分まで本番環境に合わせることで、稼働後のトラブルを防ぐことができます。
まとめ
結合テストは、個別に開発されたモジュールをつなぎ合わせて一つのシステムとして機能させるための、開発における重要な工程です。テストにおいては本記事で解説した実施時のポイントや注意点に気をつけて、一つ一つのプロセスを着実に実施することが重要です。
高品質なシステム開発には、各種テストを含む開発の工程を適切に行ってくれる、信頼できる開発パートナーの選定が必要です。
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