最終更新日:2024/10/22
クリティカルパスとは?初心者にもわかりやすく解説
クリティカルパスとは、プロジェクトを計画・管理する際に、プロジェクトの中でも外すことのできない最も重要なタスクを特定し、プロジェクトを最短で完了させるための最適な経路を示す手法です。
例えばCというタスクを開始するために、AとBの2つのタスクを完了していることがマストだとします。Aの所要時間は5分、Bの所要時間が8分だとしたら、Cを最短で始めるには何分かかるでしょうか。
例えば、Aを終わらせてからBを始めていてはCに着手するまでに13分かかってしまいますが、AとBを同時に始めればCに着手できるまでの時間は8分となり、Aのタスクを終わらせるのに3分余裕ができることになります。
このように、外すことのできない工程の所要期間を整理することで最も時間のかかるタスクを可視化することができ、それに合わせて他のタスクのスケジューリングを行うことができるというのがクリティカルパスの考え方です。
プロジェクト内で行うすべてのタスクを洗い出し、それぞれのタスクに必要な時間や順序を考慮して、プロジェクト全体が完了するまでの時間やスケジュールを見積もり、把握することで、どのタスクがプロジェクトの進行において重要であり、遅延が許されないかを明確にすることができます。
クリティカルパスを理解する3つのメリット
クリティカルパスを理解する主なメリットは以下の3つです。
- プロジェクトの中で優先度が把握できる
- リスク管理ができる
- チームのコミュニケーションが円滑になる
プロジェクトの中で優先度が把握できる
クリティカルパスを理解することで、プロジェクト全体の中で最も重要なタスクの流れを把握できます。
どんなプロジェクトにも、これが遅延するとプロジェクト全体に影響を与えてしまうという重要なタスクがあります。それがどれであるかがわかっていれば、リソースを適切に配分し、重要なタスクを優先的に進めることができ、効率的にプロジェクトを進行させることが可能となるのです。
リスク管理ができる
クリティカルパスを把握することで、プロジェクト進行におけるリスク管理がしやすくなります。クリティカルパス上に記載するタスクは重要度の高いタスクであるため、遅れるとプロジェクト全体の納期に影響を及ぼします。
そのため、潜在的な遅延やボトルネックなどのリスクを把握し、事前にリソースを割り当てたり、進捗を綿密に管理したりすることで、リスクを最小限に抑える対策が可能です。
チームのコミュニケーションが円滑になる
クリティカルパスを理解していると、プロジェクトの重要な要素をチームメンバーや関係者に明確に伝えることができます。これにより、プロジェクトの目的や進捗について全員が同じ理解を持ち、チームのコミュニケーションが円滑になります。
特に複数の部署や担当者が関与するような大規模なプロジェクトでは、全員が同じ認識を持って進行できるため、問題発生時にも迅速な対応が可能です。
クリティカルパスの求め方と書き方
クリティカルパスを求めるには、以下の手順が必要です。
- プロジェクトのタスクを特定する
- タスク間の関わりを明確にする
- 各タスクの所要時間を見積もる
- クリティカルパスを特定する
①プロジェクトのタスクを特定する
まず、プロジェクトにおけるすべてのタスクをリストアップします。タスクは大きな作業単位から細かい作業まで、プロジェクトの完了に必要なすべてのステップを網羅することが重要です。
全てのタスクを洗い出す際には、作業分解構造図(WBS)などを使って、タスクをプロジェクトの階層ごとにツリー状に整理していくのがおすすめです。
②タスク間の関わりを明確にする
次に、各タスクがどのように依存し合っているかを確認します。タスクAが完了しなければタスクBが開始できないといった場合もあれば、同時に進行できるタスクもあるでしょう。ここではタスク間の依存関係を明確にすることが必要で、タスク同士の依存関係を示したリストを作ります。
①で作った作業分解構造図(WBS)に、②でリスト化したタスク同士の関係を加えるためには、タスクを時系列に並べた工程表『PERT図』を用います。時系列にタスクを並べ、関連性を図に加えることでクリティカルパスを見極めやすくなります。
③各タスクの所要時間を見積もる
いよいよ、各タスクの完了に必要な時間を見積もります。②で作ったPERT図を元に、タスクそれぞれにかかる時間を記載していきます。
時系列順に並べたタスクそれぞれの所要時間と、それぞれのタスクに対して最も早く取りかかることのできるタイミングを記載し、同時に進めることのできる作業は縦に並べます。
④クリティカルパスを特定する
③で作成した図に記載した所要時間を見比べれば、予定通りに進めないとプロジェクト全体のスケジュールにかかわる重要なタスクがわかります。それがクリティカルパスです。
これに基づいてスケジュール調整を行いますが、その際にクリティカルパスをできるだけ効率的に短縮できる方法についても考慮しておきましょう。
タスク自体を効率化するツールなどを検討することはもちろんですが、同時進行できるタスクについても見直しておき、遅延が発生しないようにスケジュール調整をすることが重要です。
さまざまな分野で用いられているクリティカルパス
クリティカルパスの活用は、さまざまな現場で行われています。ここでは下記の分野についてご紹介します。
- 医療分野でのクリティカルパス
- 建築業や製造業でのクリティカルパス
医療分野でのクリティカルパス
医療・看護分野でのクリティカルパスは一般的にクリニカルパスと呼ばれていて、患者ケアの質の向上と効率化に貢献しています。たとえば、入院から退院までの治療や検査などのスケジュールをクリティカルパスに落とし込むことで、患者の回復を促進し、医療の質を上げることができます。
建築業や製造業でのクリティカルパス
建築業や製造業においても、クリティカルパスは工期・コスト・リスクを管理する上での要です。各工程のどの作業が優先されるべきかを明確にすることにより納期を守るための進行管理が可能となります。
クリティカルパスについてよくある質問
最後に、クリティカルパスについてよくある3つの質問を解説します。
- クリティカルパスはエクセルでも作成できますか?
- クリティカルパスのデメリットはありますか?
- クリティカルパスと他の工程表の違いは?
クリティカルパスはエクセルでも作成できますか?
クリティカルパスはエクセルでも作成できますが、それなりにエクセルに慣れていないと作るのは難しいかもしれません。慣れている人であれば、エクセルを使ってタスクをリストアップし、依存関係や所要時間を整理したり、簡単なクリティカルパスを作成したりできるでしょう。
クリティカルパスのデメリットはありますか?
クリティカルパスのデメリットとしては、全ての工程において所要時間を決定し、工程表を組んでいるため、柔軟な対応がやや難しいことと、遅延が生じた際にプロジェクト全体にかかるストレスが大きいことが挙げられます。
クリティカルパスと他の工程表の違いは?
クリティカルパスは、プロジェクト全体の中で特に重要なタスクに焦点を当てた工程表ですが、プロジェクト管理にはクリティカルパス以外にもさまざまな工程表があります。「クリティカルパスの求め方と書き方」で触れたPERT図も工程表の一つです。その他にも代表的な工程表にガントチャートがあります。
PERT図はタスクを時系列に並べるもので、タスクの依存関係を可視化できます。
ガントチャートは進捗状況を把握するために横棒を使って視覚的にタスクの開始日と終了日、進捗状況をわかるようにした工程表です。
クリティカルパスに関するまとめ
プロジェクトマネジメントにはさまざまな手法がありますが、今回解説したクリティカルパスもプロジェクトを進める上でとても便利な手法の一つです。
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