最終更新日:2025/10/02
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市場環境の変化への迅速な対応やコスト削減を目的に、多くの企業がシステム開発の内製化を検討していますが、外部委託からスムーズに内製化に移行する際には、気をつけておきたいポイントがいくつもあります。
本記事では、内製化の基礎知識やメリット・デメリット、内製化準備期間におけるオフショア開発の活用まで詳しく解説します。
内製化とは
内製化とは、外部に委託していた業務を自社内で実施する体制に切り替えることです。業務の効率化とコスト削減を目的に行われることが多く、英語では「insourcing(インソーシング)」と呼ばれ、「outsourcing(アウトソーシング)」の対義語として使われています。
システム開発における内製化とは、外部に依頼していた設計から開発、運用、保守などの業務を自社の人材や設備を活用して行うように切り替えることを言います。
外部委託にも人材の育成費用を削減できるなどメリットは多いのですが、外部に依存しすぎてしまうことで社内にノウハウが蓄積しにくかったり、市場のスピード感についていけなかったりといったデメリットがあるため、内製化を検討する企業は近年増加しています。
内製化のメリット
内製化を進めることで、企業は多くのメリットを得ることができます。主なメリットは「コスト削減」「ノウハウ蓄積」「スピード感のある対応」の3つです。それぞれを詳しく解説していきます。
1.コスト削減
多くの企業がコスト削減を目的として内製化を進めているという調査データもあります。外部委託にも、設備投資や管理コスト、人件費削減といったメリットはあるのですが、長い目で見た時には外部委託先で発生していた利益分が還元されることを考慮すると、内製化の方がコスト削減につながると言えます。
2.ノウハウ蓄積
外部委託では開発プロセスがブラックボックス化しやすく、自社システムの全容を把握できないケースもありますが、内製化すれば業務に必要なノウハウは全て自社に蓄積されます。
業務遂行のために必要な能力や知識を蓄積することで、技術革新や技術継承が可能となります。また、社内にナレッジが蓄積されることで、将来的なシステム改修や拡張もしやすくなります。
3.スピード感のある対応
外部委託の場合は、依頼のタイミングによってはすぐの対応が難しいこともありますが、社内に対応できるチームがいれば、市場の変化にあわせた迅速な対応が可能となります。
内製化によって外部委託先とのコミュニケーションや契約交渉などのプロセスを省略できるため、開発速度が大幅に向上することは大きなメリットと言えるでしょう。
内製化のデメリット
内製化にはメリットだけでなくデメリットも存在します。主に「初期費用などのコストがかかる」「人材育成に時間がかかる」「コスト意識が低くなりがち」がデメリットとして挙げられますが、こちらもそれぞれ詳しく解説します。
1.初期費用などのコストがかかる
内製化を行うためには、初期費用が外部委託よりもかかる段階を避けて通ることはできません。設備投資や人件費など、コストの増加割合が、一時的に委託費用の削減割合を上回る可能性もあります。
設備投資としては、新たに必要となる機器やソフトウェア、オフィス環境の整備などにかかる費用が発生します。
人件費としては、人材採用・育成費として新たな人材を採用する場合の採用コストや、既存の従業員に対するトレーニング費用も必要となります。
内製化に関しては、初期投資に対する投資回収期間を慎重に検討する必要があります。短期的な視点ではコスト増となる場合もあるため、中長期的な計画立案が欠かせません。
2.人材育成に時間がかかる
IT人材は国内市場では慢性的に不足している状態で、システムの内製化には欠かせないIT人材の確保は非常に困難です。社内で育成するためには、まず育成のノウハウを蓄積するところから始める必要があり、一朝一夕で実現できるものではありません。
内製化したくても自社に人員がいないために外部委託せざるを得ない企業は少なくありません。技術者の育成には数年単位の時間を要するため、計画的な人材開発戦略が求められます。
3.コスト意識が低くなりがち
内製化が実現し、社内で開発が完結することで、外部委託時のような明確なコスト管理が疎かになる可能性があります。プロジェクトの費用対効果を定期的に評価し、適切なコスト管理体制を維持することが必要です。社内だからこそ、より厳格な管理が求められます。
内製化業務の選定
内製化にあたってはすべての業務を一度に実施するのではなく、戦略的に対象業務を選定して段階的に進めることが必要です。効果が高く、リスクの低い業務から段階的に進めることで、着実な成果を上げられます。
①大幅にコストを削減できる業務
システム開発・運用などのIT関連業務は、外部委託費用が高額になりやすいため、内製化することで大幅なコストの削減が見込めます。将来にわたって自社で行うべき業務や、業務内容に対して委託費用が割高な場合などには、委託費用の削減効果が大きくなり、コスト削減につながるため、そういった業務を優先的に内製化していくとよいでしょう。
また、定常的に発生する業務や、自社の競争優位性に直結する業務は、内製化の優先度が高いといえます。
②すぐに内製化できる業務
大幅にコストを削減できる業務は、内製化までに時間がかかることも多いため、そちらの準備を進めつつ、すぐに内製化できる業務の内製化も並行して進めるとよいでしょう。
難易度が低く、効果が実感しやすい業務から内製化に着手すれば、早く効果を出すことができます。
内製化への準備期間中はオフショア開発がおすすめ
内製化には多くのメリットがありますが、完全に内製化するまでには時間と手間がそれなりにかかるため、準備期間を設けて着実に実現していかなければなりません。
完全な内製化を目指す場合、現時点で不足している技術やノウハウをもつITエンジニアを採用する必要がありますが、ITエンジニアのリソースが逼迫している国内市場においては、かなり良い条件を提示しなければ、優秀なIT人材を新たに採用することは難しいでしょう。
準備期間においては、オフショア開発の活用を選択肢に入れることで、内製化への移行をスムーズに進めることができます。例えば基盤だけオフショア開発に委託し、運用から内製化に切り替える、内製化までに時間がかかる業務のみオフショア開発に委託するといった活用方法があります。
不足するリソースをオフショア開発で補完しながら社内での開発を進め、段階的に内製化を実現するのがもっともおすすめの方法です。
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まとめ
内製化にはコスト削減、ノウハウの蓄積、対応スピードの向上といったメリットがある一方、初期コストや人材育成の課題も存在します。
内製化をスムーズに行うポイントは、大幅にコストを削減できる業務やすぐに内製化が可能な業務から段階的に進めることです。すべてを一度に内製化するのではなく、自社の状況に応じて戦略的に業務を選定し、着実に成果を上げていくことが必要です。
国内のIT人材は慢性的に不足しているだけではなく、人件費も高騰し続けているため、内製化にあたってはできるだけコストをおさえたいところです。そのため、内製化への準備期間においては、オフショア開発の活用が効果的な選択肢の一つとなります。
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