「レガシーシステム」からの脱却|現状の課題と成功のポイントとは?

「レガシーシステム」からの脱却|現状の課題と成功のポイントとは?

DX推進が叫ばれる今、企業にとってレガシーシステムからの脱却が大きな課題となっています。「DX:デジタルトランスフォーメーション」とは、新しいIT技術の活用によってビジネス環境の激しい変化に対応し、企業が製品やサービス、ビジネスモデルを変革することで市場における優位性を確立することを言います。

2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」には“2025年の崖”として、レガシーシステムからの脱却が図れなければ、国内企業のグローバルな競争力は低下し、2025年を境に最大年間12兆円もの経済損失の恐れがあるとの問題提起がなされています。

 

このテキストでは、レガシーシステムの現状、抱えている課題やリスクなどの基礎知識から、レガシーシステムから脱却できた場合に、実現されるメリットなどについて解説していきます。

レガシーシステムとは

■ レガシーシステムとは?

「レガシー:Legacy」とは「遺産」「過去の遺物」「時代遅れのもの」を指す言葉です。

「レガシーシステム」には明確な定義はありませんが、一般的には「最新技術を適用しづらい古いシステム」のことを言います。

 

2020年5月に発表されたJUAS(日本情報システム・ユーザー協会)と株式会社野村総合研究所による「デジタル化の取り組みに関する調査」では、レガシーシステムの定義を「技術面の老朽化」「システムの肥大化・複雑化」「ブラックボックス化」の3つとしています。

 

比較的新しいシステムであっても複雑化・ブラックボックス化していることで変化に対応できなかったり、属人化しているため継承が難しかったりするものもレガシーシステムと呼ばれるようです。

 

■ 日本におけるレガシーシステムの現状

「デジタル化の取り組みに関する調査」によると、レガシーシステムが存在すると答えた企業の割合は90%。うち、ほとんどがレガシーシステムであると回答したのは26.9%でした。また、レガシーシステムが多い企業ほど、それがデジタル化対応の足かせになると強く感じる企業は多く、更新の必要は多くの企業が実感しているものの、更新が多岐にわたって大きな影響を及ぼす可能性のある企業では、更新のためのテストに時間がかかっているという現状もあるようです。

 

日本は海外よりもレガシーシステムが多い国だと言われており、ユーザーや部署ごとにカスタマイズされすぎたシステムが連携やデータ移行を妨げていることや、属人化したシステムについてのノウハウなどが継承されないまま担当者が退職してしまうことなどが理由として考えられます。

 

「大きな問題を起こしていないからいい」「今は使えるからいい」。そのような考えから古いシステムを使い続けると、大変なトラブルに繋がりかねません。

 

では、レガシーシステムから脱却しないと、具体的にどのような問題が起きるのでしょうか?

レガシーシステムから脱却できないとどのような問題が起きるのか

■ レガシーシステムが抱える課題やリスクとは?

レガシーシステムから脱却できないことで起こりうる問題は、主に下記の4つです。

 

・システム障害の発生リスクが高まる

・対応できる人材を確保できなくなる

・業務の効率を著しく落とす

・ビジネスの機会損失を招く

 

・システム障害の発生リスクが高まる

最新の技術やプログラムに対応できないレガシーシステム。その場しのぎの機能追加やパッチを適用することを繰り返すと、大規模なシステム障害の発生リスクが格段に上がります。特に、ブラックボックス化しているレガシーシステムの場合は迅速な対処が難しいケースも多く、システム障害によって企業が負う被害は甚大なものになると考えられます。

 

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の調査によると、日本国内で2009年に発生したシステム障害の件数は月平均1.3件であったのに対して、2014年には月平均3.0件と2倍以上に増加しています。EMCジャパン株式会社が2015年に発表した「EMC Global Data Protection Index」によると、日本国内の企業において、データロスとシステム停止時間によって生まれる1社あたりの損失は約2億1,900万円という結果が出ています。

 

システム障害は被害額が大きいだけでなく、企業としての信用も失ってしまいます。レガシーシステムを使い続けることは、このようなトラブルを招く一因となってしまうのです。

 

・対応できる人材を確保できなくなる

レガシーシステムは古い技術で作られています。システムを使い続けるためにはさまざまな修正やトラブルなどに対応できる担当者が必要ですが、古い技術やプログラミング言語を理解できる技術者は年々減少しており、人材不足は深刻です。

レガシーシステムを使い続けることで、企業は慢性的な人材不足に悩まされることとなります。

 

・業務の効率を著しく落とす

古いシステムを無理に使い続けていると、システム自体のパフォーマンスが低下し、挙動が遅くなったり、処理に時間がかかりすぎたり、ということが起こります。これはシステムを利用する従業員の業務効率を落とすため、企業としてもパフォーマンスを低下させることにつながってしまいます。

 

・ビジネスの機会損失を招く

互換性のないレガシーシステムには臨機応変さがありません。レガシーシステムを使い続ける企業に見切りをつけ、クライアントが別の取引先を選ぶというケースも近年は増えてきているようです。

 

このような大きなトラブルや機会損失を招く可能性のあるレガシーシステム。すぐにでも脱却したいところですが、なかなかそうもいかないケースも……。

 

次項ではレガシーシステムから脱却するためのポイントについて解説します。

レガシーシステムから脱却するには?

■ レガシーシステムから脱却することの難しさ

古いだけでなく、使い続けるために大量の修正プログラムが適用され、複雑化・ブラックボックス化してしまったレガシーシステムを再構築するのは至難の業です。もちろんコストもかかるため、多くの企業がコスト削減のために既存のシステムを流用することにこだわり、結局複雑化・ブラックボックス化が解決されないというケースも。

 

また、複雑化・ブラックボックス化したレガシーシステムの全容を把握している担当がいない場合、これもレガシーシステムからの脱却に時間がかかる要因となりますし、一からシステムを構築するのとは異なり、レガシーシステムを再構築するには不確定要素が多いため、リスクも高くなります。

 

レガシーシステムから脱却する必要性は多くの企業が理解しているのに、脱却が進まないのはさまざまな要因がありますが、だからといって脱却せずにレガシーシステムを使い続けるわけにもいきません。

 

■ レガシーシステムから脱却するためのポイント

レガシーシステムからの脱却は、難易度は高いものの、決して不可能なことではありません。レガシーシステムを脱却する際には、前述したような再構築の際に想定される問題をしっかり把握し、解決策を用意する必要があります。

 

まずは再構築の方針や目的を明確にし、後で方針がぶれないようにしましょう。リスク管理やベンダーの選定なども重要なポイントです。リスク抽出に漏れがあると問題発生によるスケジュールの遅延といったトラブルを生みますし、既存ベンダーと新規ベンダーどちらがより効率的に再構築を行ってくれるのか、しっかり見極めることも必要です。

 

■ レガシーシステムから脱却する方法

レガシーシステムの再構築の方法としては、まず既存システムをクラウド化した上で運用・開発を行う「リフト&シフト」と言われる手法が現在のトレンドとなっています。

 

「リフト&シフト」とはクラウド化する「リフト」の段階と、運用・開発を行う「シフト」の段階を組み合わせることでレガシーシステムを効率的に再構築する手法です。かつてはオンプレミスの既存システムをクラウド化し、クラウド上で利用できる仕組みを構築することを「リフト&シフト」と呼んでいましたが、近年ではクラウド化したあとに一部オンプレミスへと回帰させるなど、クラウド移行の後の運用にさまざまな方法を選択できるようになっています。

レガシーシステムから脱却できるとどうなる?

■ レガシーシステム脱却によるメリットや効果

コロナ禍によってテレワーク化が進み、ビデオ会議が一般的になるなど、これまで進んでいなかったビジネスにおけるデジタル化の波が一気に押し寄せています。この機会に大きく社内のシステムやルールを見直した企業も多く、今はレガシーシステムからの脱却にも最適のタイミングと言えます。

 

レガシーシステムから脱却することで、新しい技術を柔軟に取り入れることができるようになれば、それは組織の柔軟性や創造性を高めることにもつながります。

ユーザビリティが向上したシステムによって業務が効率化され、古いシステムの保守にかけていた時間が大幅に短縮されることによって、新しい製品開発などにリソースを割くことができるようになれば、企業として新たな付加価値を模索することができます。

 

レガシーシステムからの脱却はコストがかかるために二の足を踏む企業も多いようですが、この先ずっと古いシステムを使い続けることで生じる無駄な維持費からの脱却でもあります。これは結果的にコスト削減にもつながります。

 

いつかはやらなければいけないことなら、後回しにせず、世の中がデジタル化の機運に乗る今こそ着手すべきでしょう。

まとめ

経済産業省が「DXレポート」を発表した2018年には少し先の出来事だった“2025年の崖”問題ですが、2025年はもうすぐそこまで来ており、レガシーシステムからの脱却は今すぐやらなければいけない最優先事項となっています。

 

近年、日本人エンジニアのリソース不足は著しく、レガシーシステムから脱却するための人材確保に頭を悩ませる企業も多いようです。日本企業の約45.6%が導入している「オフショア開発」も視野に入れてレガシーシステムからの脱却を検討してみませんか?

 

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