ローコード開発とは?メリットデメリットやおすすめのツール |
公開日:2021/09/01 最終更新日:2023/09/20
ローコード開発とは?メリットデメリットやおすすめのツール
近年注目を集めている「ローコード開発」。開発にかかる時間やコストを削減できるのが大きな魅力ですが、実際どのようなものなのでしょうか。このテキストではローコード開発の基礎知識や、ノーコードとの違い、トレンドや今後の展望などを詳しく解説していきます。
ローコード開発とは?
■ ローコード開発とは?
ローコード開発とは、ツールなどを利用して通常の開発よりも少ないコードで行う開発のこと。視覚的に操作できるため、プログラミングのスキルがなくてもアプリケーションを開発することができます。コードを書くことで拡張も可能です。
■ ローコードプラットフォームとは?
ローコードプラットフォームとは、ローコード開発を行う際に必要な環境を提供するソフトウェアのことです。開発だけでなく運用までをサポートしているため、ツールではなくプラットフォームと呼ばれています。MicrosoftやOracleなど多くの企業がさまざまなローコードプラットフォームを開発しています。
ローコードのメリット / デメリット
■ ローコードのメリット
冒頭でも述べたとおり、ローコード開発の最も大きなメリットは開発にかかる時間とコストが削減できることです。
ローコードプラットフォームを利用して開発を行うため、セキュリティ対策を自社で行う必要がなく、複雑なコードを書く手間が軽減されるため、ミスやバグなどが減ります。
プログラミングスキルが低くても開発を行うことができるので、わざわざ高い技術を持った人材に任せる必要もありません。
■ ローコードのデメリット
ローコードプラットフォームを利用して行う開発なので、プラットフォームの機能による制限を受けることがあります。また、拡張に関してはコードを書く必要があるので、プログラミングスキルが必須となります。
また、さまざまなローコードプラットフォームが存在するため、使用するプラットフォームの使い方をよく知っている人材に任せる必要があるでしょう。
開発はプログラミングだけで行うものではなく、業務の分析やプロセスの設計なども重要なため、そういった工程を担当できる人材はこれまでと変わらず必要となります。
ローコードでどんなことができる?
■ ローコードでどんなことができるのか?
ローコードプラットフォームではさまざまな素材を直感的な操作によって組み合わせることで、簡単にアプリケーションを開発することができます。日常業務を効率化するアプリケーションや、社内で使っている既存システムと連携するアプリケーションを作ることも可能です。
■ ローコードを検討する際に注意することは?
プラットフォームによって得意分野や操作感は異なるため、作りたいアプリケーションによってプラットフォームを選定する必要があります。
例えばMicrosoftのローコードプラットフォームではExcelやWordといったMicrosoft製品との互換性がある、というような特徴があります。
また、ある程度の拡張は可能とはいえ、プラットフォームの機能による制限もあるため、大規模な開発には向いていません。作りたいアプリケーションの規模によってはスクラッチ開発が向いているケースもあります。
ローコードとノーコードの違いは?
ローコードとあわせて語られることが多いノーコード開発。ノーコード開発はコードを全く書かずに開発を行うため、ツールの機能として用意されているものしか作ることができません。コードを書いて拡張することが可能なローコードよりも自由度が低いのがノーコードの特徴です。
新聞などのメディアでは「ノーコード/ローコード」といった書き方をされることや、ローコードプラットフォームをノーコードとして紹介していることも。コードの使用を減らし、視覚的な操作で開発するという点ではどちらも同じなので、今後はノーコードとローコードの境界はさらに曖昧になっていくのかもしれません。
ノーコード開発については下記のテキストも参考になります。
おすすめのローコードプラットフォームを紹介
■ Microsoft PowerApps
Microsoftが提供しているローコードプラットフォームなので、PowerPointやWord、ExcelなどのOffice製品と互換性が高く、これらのソフトに馴染みのある人なら同じ感覚でアプリケーションを開発することができます。
■ Salesforce Lightning Platform
顧客管理や営業支援をクラウドで行うウェブサービス「Salesforce」を提供しているセールスフォース・ドットコムのローコードプラットフォームです。セールスフォース・ドットコムの各種サービスと簡単に連携できるので、すでにSalesforceを活用している企業に特におすすめのローコードプラットフォームです。
■ Kintone
サイボウズ株式会社のローコードプラットフォームです。テンプレートが豊富で、比較的小規模の業務効率化に向いています。
ローコードの活用事例
ここでは、ローコード開発を実際に行った企業の活用事例をご紹介します。
■ LIXIL
LIXILは国内の5社が合併してできた企業であるため、レガシーシステムが乱立しており、その解決にローコード開発が使われました。属人化によって、プログラマーごとのプログラミングの癖があるとコードが非常に読みにくくなりますが、そのような課題も解決され、開発期間も短縮でき、コスト削減にもつながりました。
■ 三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行では、銀行間の与信残高管理システムをローコードで開発し、開発期間を大幅に短くすることに成功しました。1年程度かかる開発が3ヶ月ほどに短縮できたのだとか。
■ ロイヤルホールディングス
コロナ禍において時短営業や休業を余儀なくされた飲食業界にもローコードを活用した事例があります。ロイヤルホストを展開するロイヤルホールディングスは、休業手当を支払うために必要な情報を従業員から集めるシステムをローコードで開発。1ヶ月ほどで完成させたシステムによって、迅速に2万人の情報を収集することができました。
今後のIT開発はどう変わる?
■ ローコードのトレンド、今後の展望
すでに海外ではローコード開発が一般化しており、これまでツール専業のベンダーが中心となっていたローコード開発市場に、近年はMicrosoftやGoogle、AWSなどのIT大手が続々と参入しています。
アメリカのリサーチ企業であるガートナーは、2024年には世界のアプリケーションの65%以上がローコードで開発され、75%の大企業が4種類以上のローコード開発プラットフォームを扱うと予想しており、ローコード開発の需要は今後ますます高まっていくことでしょう。
2025年の崖問題が危惧され、企業のDX化が急がれているにも関わらず、国内の人材確保が非常に難しい状況の日本においては、プログラミングスキルがない従業員も開発に携わることのできるローコード開発は非常に期待されている開発手法です。とはいえ、ローコード開発においては使用するローコードプラットフォームを熟知している人材や、開発工程について管理する人材が必要であり、ローコード開発によってアプリ開発の敷居は低くなっても、エンジニアが不要となるわけではありません。
まとめ
ノーコードやローコードは、コーディングが不要、または最低限のコーディングで視覚的な操作による開発が可能であり、近年注目を集めています。
専門スキルのない人材でも開発を行うことができるため、今後もローコードプラットフォーム市場はさらなる成長を続けていくことが予想されます。
ローコードにおいては、拡張の際にはコードを書く必要がありますし、コードを書くこれまでの開発が不要となるわけではありません。それはノーコードにおいても同じです。
非エンジニアでも開発を行うことができる社会においても、プログラミングの知識を持つ人材はこれまで以上に重要な役割を担うこととなるでしょう。
とはいえ国内の人材不足は引き続き深刻であり、オフショア開発によって優秀な人材を海外に求める企業も増えています。
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