最終更新日:2023/08/28
ネイティブアプリとは?ハイブリッドアプリ・Webアプリ開発との比較
インターネットを利用するデバイスは、かつてはPCが主流でしたが、2018年にはスマートフォンがPCを上回り、多くのユーザーがスマートフォンやタブレットといったモバイル機器を活用するようになりました。
ビジネスにおいてもプライベートにおいてもモバイル機器の重要性は高まっており、それと共にモバイルアプリも非常に重要な存在となっています。
このテキストでは、アプリケーションを開発する際に選定することになる3つのアプリに焦点を当てます。ネイティブアプリを中心に、ハイブリッドアプリ、Webアプリとの違いや事例、保守や運用の重要性について理解を深められる内容となっています。また、近年注目されている新しいアプリの形、PWAについても解説していきます。
INDEX
1. ネイティブアプリとは?
2. ネイティブアプリのメリットデメリット
3. Webアプリ、ハイブリッドアプリとの違い
4. ネイティブアプリで開発すべきサービスは?
5. 忘れてはならないアプリの保守・運用費用
6. 注目を集めるPWAという手法も検討を!
7. クロスプラットフォームも要チェック
ネイティブアプリとは?
ネイティブアプリとは、インストールして端末上で動作するものをいいます。GoogleやAppleのストアからダウンロードするアプリを思い浮かべていただければわかりやすいのではないでしょうか。
それぞれのOS専用に作られたアプリなので、端末の機能、例えば位置情報やカメラ機能などOSの機能を活用することができます。
クラウドサービスの進化や、ノーコード、ローコードといったアプリを簡単に作ることができる開発手法のおかげでアプリケーション開発は以前に比べてかなり手軽なものとなりました。その影響もあり、近年アプリ開発市場の成長が急激に加速しています。
アプリケーションにはそのほかにWebアプリ、ハイブリッドアプリの2種類がありますがその2つについては後ほど解説します。
ネイティブアプリのメリット・デメリット
Webアプリとハイブリッドアプリについて解説する前に、まずはネイティブアプリのメリットとデメリットを見ておきましょう。
|ネイティブアプリのメリット
ネイティブアプリは端末上にインストールして使うアプリなので、インターネットにつながっていなくても利用が可能です。また、前述したとおり、OSの機能を活かしたアプリを開発できます。
ネイティブアプリはアプリ内課金もスムーズに行うことができるので収益につなげやすく、アンインストールされない限りは継続的に利用してもらいやすいアプリだとも言われています。
|ネイティブアプリのデメリット
ネイティブアプリはGoogleやAppleのストアに並ぶアプリなので、ストアの審査に通らなければリリースすることができません。そのためリリースまでの期間が長くなってしまう可能性も。また、OSごとに異なる開発環境を要することもあり、開発コストは高めです。
ネイティブアプリはインストールしてもらえば継続的に使ってもらいやすいアプリではあるのですが、インストールの手間がかかるため、ユーザーにとっては利用のハードルが若干高いとも言われています。
Webアプリ、ハイブリッドアプリとの違い
ネイティブアプリがどういったアプリなのか理解できたところで、この項ではWebアプリとハイブリッドアプリがそれぞれどのようなアプリなのかを解説します。
|Webアプリとは・Webアプリの特徴
Webアプリとは、Webブラウザ上で動作するアプリケーションのことであり、ネイティブアプリのようにインストールする必要がありません。アプリによっては見た目もネイティブアプリとほとんど変わりないものもあります。
ブラウザからアクセスするだけなのでインストールの手間がかからず、課金もストアを通さず行うことができます。
|Webアプリのメリット
ユーザーにインストールの手間をかけさせることがないため、新規ユーザーの獲得がしやすいのが大きなメリットでしょう。アカウント一つで複数の端末から利用できるのもユーザーにとっては嬉しいポイント。
ストアを通さず課金が可能なため、ストアに手数料を支払う必要もありません。審査も不要なので、スピード感を持って開発することができます。
|Webアプリのデメリット
Webアプリの機能はブラウザ上で動作できるものに限られるため、ネイティブアプリのように豊富な機能を持つことができないというデメリットがあります。また、インターネットにつながっていなければ動作できませんし、ウイルスなどの脅威にさらされることも。
プッシュ通知が使えないため、プッシュ通知を利用したマーケティング施策が使えないというデメリットもあります。
|ハイブリッドアプリとは・ハイブリッドアプリの特徴
ハイブリッドアプリとは、ネイティブアプリとWebアプリの特性を併せ持つアプリケーションのことで、Webアプリがベースとなったものですが、ブラウザではなくWebViewで動きます。WebViewとはHTMLコンテンツをアプリで表示できるようにする機能であり、OSに搭載されています。そのためハイブリッドアプリはネイティブアプリと同じようにOSの機能を使うことができます。
|ハイブリッドアプリのメリット
開発にあたってOSを選ばないというのが大きなメリットでしょう。ネイティブアプリとWebアプリの特徴を併せ持ち、iOSでもAndroidでも使えるアプリを一度で開発することができるので、ネイティブアプリより開発コストを抑えることができます。
|ハイブリッドアプリのデメリット
Webアプリよりは読み込み速度は速いものの、ネイティブアプリよりは動作が遅くなりがちというのがハイブリッドアプリのデメリットです。
ネイティブアプリで開発すべきサービスは?
前項で述べたとおり、3種類のアプリにはそれぞれ異なるメリット・デメリットがあるため、サービスによって使い分けるのが得策です。
|ネイティブアプリが向いているサービス
容量がそれなりに大きく、オフラインで利用されるサービスにはネイティブアプリが向いています。カメラなど端末が持つ機能との連携にも優れているため、例えば写真加工アプリなどはネイティブアプリがもっとも向いているサービスでしょう。
また、動作速度の速さがネイティブアプリの特徴なので、ゲームなどにもネイティブアプリが向いています。
|Webアプリ・ハイブリッドアプリが向いているサービス
オフラインでの利用が少なく、デバイスの機能との連携もさして必要のないサービスなら、柔軟なメンテナンスができ、コストを抑えられるWebアプリやハイブリッドアプリが良いでしょう。
例えばニュースのような最新情報を常に更新する必要があるサービスや、動作速度がそこまで求められないレシピなどが向いています。
忘れてはならないアプリの保守・運用費用
アプリケーションは作って終わり、ではありません。不具合や障害への対応、昨日のアップデートなど、その後の保守・運用は非常に重要なのですが、アプリをリリースした後の対応が疎かにされているケースは少なくありません。
先日、出張で地方に出かけた際、地元のレンタサイクルサービスを利用しようとしたのですが、受付にあたって専用アプリのダウンロードが必要と言われました。インストールしたところ、Android機種ではテキストを入力できず、ストアのレビューを見るとかなり前から不具合の指摘がなされているにもかかわらず、放置されているようでした。
この時は仕方なくサービスの利用を諦めたのですが、保守・運用を疎かにしたケースと言えば、厚労省が提供する新型コロナウイルスの接触確認アプリ「COCOA」の不具合が4ヶ月もの間、放置されていた問題を思い出します。
アプリに不具合が起きるのは仕方ないことではありますが、それを放置することはトラブルをより大きくする要因となります。
COCOAの一件は厚労省が民間企業に丸投げしたことも大きな問題ですが、リリースを急ぐあまりにじゅうぶんなテストを行わなかったことや、保守についての認識が非常に甘いものであったことが要因と言えるでしょう。
アプリの開発に比べ、保守・運用を軽んじる風潮が一部にあることは事実ですが、保守・運用にこそコストをかけないと企業やサービスの信用問題にも関わることを忘れてはいけません。
とはいえ、開発期間よりも長い期間コストをかけ続けなければいけない保守・運用は頭の痛い問題でもありますから、オフショア開発などで費用を抑えるといった工夫が必要です。
注目を集めるPWAという手法も検討を!
2015年にGoogleによってリリースされた新しいアプリの形、PWAについてもおさえておきましょう。「PWA(Progressive Web Apps:プログレッシブウェブアプリ)」とはWebサイトをネイティブアプリのように利用できる開発コンセプトのことを言います。
WebサイトですからWebアプリと同じくダウンロードする必要がありません。また、キャッシュを利用することでネイティブアプリのようにオフライン利用が可能となり、動作が速いことも大きな特徴です。
これだけのメリットがありながらも、Googleの開発コンセプトであるためにiOSに対応していなかったPWA。iPhoneユーザーの多い日本ではこれまであまり注目されていませんでしたが、2018年にiOSに対応したことから世界に出遅れつつも、日本でも普及が進んでいます。
PWAについてさらに理解を深めたいなら、こちらの記事もおすすめです。
* 参考記事:「PWAとは?ネイティブアプリとの違い・メリットデメリット・導入事例」
クロスプラットフォームも要チェック
iOSとAndroidで異なる開発を行う必要がある、ということはネイティブアプリの解説で述べたとおりですが、最近はiOSとAndroid両方の環境において、共通コードで開発されたアプリを動作できる「クロスプラットフォーム」というプログラムが登場しています。ネイティブコード以外の言語でコーディングされたコードをReactNative、Flutter、Xamarinなどを利用してiOSとAndroidそれぞれがわかる言語に変換するというものです。
クロスプラットフォームの登場で開発コストや期間だけでなく、保守・運用のコストも大幅におさえることができるようになりました。
オフラインでも操作できるネイティブタイプの開発だけでなくWebViewで動作するハイブリッドタイプのアプリも開発でき、この2つとは異なる独自のレンダリングを行うタイプの開発も可能です。
まとめ
今や、ドラッグストアやアパレルなど、多くの店舗で買い物をする際に公式アプリの登録や提示を求められるほど、店舗アプリは一般的なものとなりました。電車ではスマートフォンでゲームアプリやニュースアプリ、動画アプリを開いている人が大半、という状況ももはや日常の風景となっています。
アプリ開発市場も年々成長を続けており、すでにアプリを開発している企業であれば保守や運用はもちろん新しいアプリの開発を考えていらっしゃることでしょう。
これからアプリの開発に乗り出すという企業もすでに開発やリリースを終えた企業も、アプリの開発や保守・運用における人材の確保、業者の選定、コストの問題に頭を悩ませているというご担当者は非常に多く見受けられます。
開発はもちろん、保守や運用にもオフショアを活用することができます。開発から保守・運用まで、さまざまなお悩みに対応しておりますので、ぜひ一度、専門コンシェルジュへの無料相談サービスをご利用ください。