最終更新日:2025/08/06
INDEX
オフショア開発の利用シーンとしては主に、コスト削減を目的とした開発、開発リソース不足の補完、保守・運用のアウトソーシングの3つが挙げられます。それぞれをわかりやすく解説していきます。
オフショア開発とは
企業が自国以外の国でソフトウェア開発やITサービスを行うことをオフショア開発と言います。主にコスト削減や高度な技術を求めて行われることが多く、近年ではIT人材不足の解消にも役立っています。
国内開発・ニアショア開発との違い
国内開発は日本国内で開発を委託する方法です。同じ文化圏で同一言語を使用するため、コミュニケーションが最も円滑に行えるのが国内開発ですが、近年、国内のIT人材不足は慢性的なものとなっており、人件費の高騰や人材の確保が困難な状況が続いています。
ニアショアとは「近くの海岸」を意味する言葉で、ニアショア開発は国内の地方都市で開発を行う手法です。時差や文化の違いがないことが大きなメリットで、首都圏より人件費を抑えられる一方、地方でもIT人材不足は深刻化しています。
このように、オフショア開発と国内開発、ニアショア開発には開発を行う地域に大きな違いがあります。
ニアショア開発については下記の記事も参考になりますのでご一読ください。
https://www.offshore-kaihatsu.com/contents/general/near-shore
オフショア開発のメリット・デメリット
オフショア開発の導入を検討する際は、メリットとデメリットを正確に把握しておきましょう。
オフショア開発の主なメリットは開発コストの削減と、優秀な人材リソースの確保です。近年、国内のIT人材は慢性的に不足しており、人件費も高騰していますが、海外には多くの優秀なエンジニアが存在しており、オフショア先を選ぶことでコストの大幅削減も見込めます。
オフショア開発の主なデメリットは言語や文化などコミュニケーションの課題と、開発過程の可視化が困難なことによる品質管理の難しさです。特に日本特有の曖昧な表現は伝わりづらく、認識の齟齬に注意する必要があります。
オフショア開発の利用シーン
オフショア開発の利用シーンとしては主に、コスト削減を目的とした開発、開発リソース不足の補完、保守・運用のアウトソーシングの3つが挙げられます。それぞれをわかりやすく解説していきます。
コスト削減を目的とした開発
開発予算のコスト削減が主な目的である場合、オフショア開発は極めて有効な選択肢となります。アジア圏の諸外国ではエンジニアなどIT人材の人件費が日本より安価であることが多く、特に大規模なシステム開発やWeb アプリケーション開発では人件費が開発コスト全体の大部分を占めるため、大きなコスト削減が見込めます。
とは言え、単純に人件費が安いという理由だけで委託先を選ぶと、技術力不足による修正やコミュニケーション不足による品質の問題により、かえってコストが増大するリスクがあります。コスト削減を目的とする場合でも、実績と技術力を兼ね備えた信頼できるパートナーを選択することが成功の鍵となります。
https://www.offshore-kaihatsu.com/lp2/
開発リソース不足の補完
日本国内のIT人材不足は深刻化の一途をたどっており、経済産業省の調査によると2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予測されています。このような状況下で、オフショア開発は人材リソース不足を補完する有効な手段と言えます。
特に、短期間で大量の開発リソースが必要となるプロジェクトや、国内では確保が難しい専門技術を要求される案件ではオフショア開発の活用がとても有効です。
保守・運用のアウトソーシング
開発完了後も、継続的な保守・運用業務が必要です。これらの業務は定型的な作業が多く、オフショア開発に適した領域の一つです。24時間365日の監視体制や、定期的なメンテナンス、バグ修正、機能追加などの業務を海外チームに委託することで、大幅なコスト削減を実現できます。
また、保守・運用業務を海外に委託することで、社内のエンジニアはより付加価値の高い新規開発業務に集中できるようになり、企業全体の開発力向上と競争力強化を同時に実現することも可能です。
オフショア開発の主な開発国と特徴
ベトナム
プログラマー | シニアエンジニア | ブリッジSE | PM |
---|---|---|---|
39.4万円(-2.1%) | 48.3万円(-1.7%) | 59万円(+2.1%) | 70万円(-11.9%) |
2024年のオフショア開発におけるベトナムの人月単価は、プログラマーが39.4万円(前年比:-2.1%)、シニアエンジニアが48.3万円(前年比:-1.7%)、ブリッジSEが59万円(前年比:+2.1%)、PMが70万円(前年比:-11.9%)となっており、ブリッジSEは微増したものの、その他は2023年に比べて若干単価が下がっています。
ベトナムはIT教育が盛んな国の一つで、政府もIT教育を国策として推進しています。海外市場の需要に対応する体制を整えており、日本とも親和性が高い、人気のオフショア先です。
若手人材が増加し続けているため、経験年数の少ないエンジニアの単価が低下傾向にあります。一方で、ブリッジSEなど専門性を要する職種の単価は上昇しています。
近年はダナンやフエといった新興都市もコストが比較的安価な開発拠点として注目されています。
フィリピン
フィリピン「オフショア開発」を考えている方の無料相談はこちら
プログラマー | シニアエンジニア | ブリッジSE | PM |
---|---|---|---|
43万円(+20%) | 55.5万円(+4.1%) | 73.6万円(-9.4%) | 78.2万円(+10.4%) |
2024年のオフショア開発におけるフィリピンの人月単価は、プログラマーが43万円(前年比:+20%)、シニアエンジニアが55.5万円(前年比:+4.1%)、ブリッジSEが73.6万円(前年比:-9.4%)、PMが78.2万円(前年比:+10.4%)となっており、2023年に比べるとブリッジSE以外は全体的に単価が上がっています。
フィリピンでのIT開発は主にマニラやセブを中心に展開されており、フィリピンの首都であるマニラはエンジニアの技術力が高い一方、単価はやや高めの傾向にあります。
リゾート地としても知られるセブはエンジニアの定着率が比較的高く、マニラより単価が安い傾向にあります。
フィリピンは公用語が英語であり、英語力が高く、グローバル案件に強みのある市場と言えます。また、フィリピン政府は税制優遇措置やインフラ整備など、IT分野の成長を促進するさまざまな政策を進めています。
中国
プログラマー | シニアエンジニア | ブリッジSE | PM |
---|---|---|---|
44.4万 (-12.1%) |
58.3万円 (-5.6%) |
65万円 (-18%) |
75.3万 (-18.3%) |
2024年のオフショア開発における中国の人月単価は、プログラマーが44.4万(前年比:-12.1%)、シニアエンジニアが58.3万円(前年比:-5.6%)、ブリッジSEが65万円(前年比:-18%)、PMが75.3万(前年比:-18.3%)となっており、2023年と比較すると全体的に単価が下がっています。
中国はスキルの高いエンジニアを安価に雇うことのできるオフショア先ですが、上海、深セン、北京など沿岸部都市のエンジニアはスキルが高い一方、単価も高めです。内陸部都市ではスキルセットや英語力が劣る場合があるものの、比較的単価は低い傾向にあります。
また、日本語対応が可能なエンジニアや日本向けの開発経験が豊富な企業は単価が高い傾向にありますが、日本語必須ではなく英語でのコミュニケーションを条件とすることでコストを抑えることができるケースもあります。
中国はIT産業を経済発展の柱と位置づけており、さまざまな税制優遇や補助金を提供しています。そのため中国のIT市場は引き続き拡大しており、特に北京ではAIなどの分野でスキルの高いエンジニアが多く排出されています。
インド
プログラマー | シニアエンジニア | ブリッジSE | PM |
---|---|---|---|
53.3万 (+4.9%) |
61.7万円 (-10.3%) |
69.2万 (-26.4%) |
77.5万 (-30.4%) |
2024年のオフショア開発におけるインドの人月単価は、プログラマーが53.3万(前年比:+4.9%)、シニアエンジニアが61.7万円(前年比:-10.3%)、ブリッジSEが69.2万(前年比:-26.4%)、PMが77.5万(前年比:-30.4%)となっており、2023年と比較すると、プログラマー以外は単価が下がっています。
インドはIT市場が成熟しており、開発者が多いため競争が激しく、単価が抑えられる傾向にあります。インドのソフトウェア開発者の平均時給は$15~$50(¥2,216〜¥7,387:2024年7月25日時点)となっており、北米やヨーロッパよりもかなり安価な金額ですが、近年は人件費が上昇傾向にあります。
また、バンガロール、ハイデラバード、ムンバイといった主要都市と地方都市ではスキルや単価に差があります。
インドのオフショア開発は低コストかつ高品質であることがメリットですが、文化の違いやコミュニケーションコストがデメリットとなることもあるため、インドでオフショア開発を検討する際には企業の選定が重要です。
インドは公用語が英語の国であり、グローバル案件に強い傾向にあります。スタートアップ企業の成長を支援する枠組み、スタートアップエコシステムが発展しているため、革新的なソリューションや最新技術の提供に強みがあります。
ミャンマー
ミャンマー「オフショア開発」を考えている方の無料相談はこちら
プログラマー | シニアエンジニア | ブリッジSE | PM |
---|---|---|---|
26.9万円(-2.1%) | 41.9万円(-22.6%) | 55.6万(-18.6%) | 66.9万(-31.4%) |
2024年のオフショア開発におけるミャンマーの人月単価は、プログラマーが26.9万円(前年比:-2.1%)、シニアエンジニアが41.9万円(前年比:-22.6%)、ブリッジSEが55.6万(前年比:-18.6%)、PMが66.9万(前年比:-31.4%)となっており、2023年と比較して全体的に単価が下がっています。
ミャンマーは東南アジアの中で人件費が比較的安価な国で、エンジニアの単価もスキルによりますが割安であり、他の国よりもコストを抑えられる傾向にあります。ただし、為替の変動が大きいことがあり、円やドルでの支払いの場合は注意が必要です。
ミャンマーの公用語はミャンマー語であり、英語や日本語でのコミュニケーション対応を求めると単価はやや高くなる傾向にあります。
IT市場は他の国に比べてまだまだ規模が小さいものの、政府の支援もあり、急速に成長しています。高度なスキルを持つ人材は多くはありませんが、基本的なWebアプリケーションやモバイルアプリケーションの開発であれば、コストを抑えて一定の成果をあげることが可能です。
政治的に安定しない国であることや、通信インフラの不安定さなど不安材料もありますが、コストの安さは魅力的であり、今後も成長が見込めるため、注目したいオフショア先です。
まとめ
オフショア開発は適切に活用することで企業の競争力を大幅に向上させる強力な手段です。
コスト削減も大きなメリットですが、単純なコスト比較ではなく、プロジェクトの性質、求める品質水準、長期的なビジネス戦略を総合的に考慮して判断することが重要です。
日本企業にとってオフショア開発は、もはや選択肢の一つではなく、グローバル競争を勝ち抜くための必須戦略となっています。
オフショア開発.comでは専門コンシェルジュによる無料相談をご提供しています。ご相談から候補となるオフショア開発企業のご紹介まで、すべて無料でご利用いただけます。ご発注になった際の成約手数料もございませんので、安心してご利用ください。