最終更新日:2023/08/10

PM(プロジェクトマネージャー)人材育成のプロによる、「PM力の鍛え方」

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国内のIT人材不足が叫ばれていますが、DX需要の高まりからIT開発のプロジェクトマネジメントを担うPM(プロジェクトマネージャー)の市場価値が高騰しています。

 

ただしPMはIT人材全体のなかでも、特に希少な人材です。PMにかかるコストも急上昇しており、採用したくてもできないのが現状です。

そこで、注目されているのが、PMの採用ではなく、PM育成です。

 

この記事では、特にオフショア開発におけるPM育成のスペシャリストとして注目される、タノシージャパン株式会社の武内 啓さまからお話を伺い、PM育成を取り巻く環境やPM育成ノウハウをご紹介します。

INDEX

1. オフショア開発におけるPMの役割

2. 枯渇し続けるPM

3. ビジネスサイドのPMとエンジニアサイドのPMとは

4. なぜPMは育成が難しいのか、その理由

5. PM力の鍛え方について

6. PMに求められる素養

7. PMに向いていない性格

8. PM育成について

9. どうしたらPMが増やせるのか

10. タノシージャパンではPM志望の方を積極採用中

オフショア開発におけるPMの役割

国内開発とオフショア開発で、基本的にPMの役割は変わりません。

 

ただし、オフショア開発においては、「文化の違い」と「言語の違い」に配慮できなければなりません。

 

|文化の違い

 

例えば、あるプロジェクトでトラブルが発生した時に、同時に家族のトラブルも発生してしまった場合……ベトナムだとプロジェクトメンバーは家族のトラブルを優先します。

 

そのほかにも、ベトナムではテトという旧正月の長期休暇があり、日本とは休日がずれています。

 

|言語の違い

 

オフショア開発においては、仕様書などのドキュメントをGoogle翻訳などの翻訳ツールを活用して、ベトナム語に翻訳する、といったことがよくあります。

 

国内開発でドキュメントを記述する際には、意識せずに長文を書いている、といったケースもあるかと思います。

 

ただ、翻訳ツールで長文を翻訳にかけようとすると、誤訳が発生することが度々あります。

短文で細かく翻訳ツールを活用する、といった細かなテクニックが求められたりします。

 

また、ドキュメントの修正に関して……例えば、ドキュメント変更のたびに翻訳をかけて、バージョンが細かく刻まれてしまう、ということもあるので、設計書の変更回数を抑える、まとめてドキュメントを更新する、などの対応をするのが望ましかったりします。

枯渇し続けるPM

日本国内のIT開発の規模は、10年ごとに20%〜30%ほど上昇しています。それに対して、IT人材の数は人数的には横這いか、むしろ数%減少といったところです。これはPMに限らず、IT人材全体のお話です。

 

そのため、現場としては、ここ数年仕事が溢れかえっているような状況です。リソースも減少気味なので、その傾向はますます加速していってます。

 

PMはただでさえ希少な人材ですが、さらに希少度が増しているのが現状です。

ビジネスサイドのPMとエンジニアサイドのPMとは

ビジネスサイドのPM、エンジニアサイドのPM、という考え方があります。

それぞれ説明しましょう。

 

|ビジネスサイドのPMの特徴

 

ビジネスサイドのPMは、お客様のビジネス要件(どういったシステムを組むのか)、予算の管理、スケジュール、といった領域を理解することに秀でています。

 

また、開発プロジェクトはクライアントの社内でどういう立ち位置なのか?といった社内政治についても、アンテナを張ることができ、どういう時にプロジェクトが動き、止まるのか、ということにも感度が高いです。

 

また、プロジェクトに関わる法改正への理解、キャッチアップも得意としています。

 

|エンジニアサイドのPMの特徴

 

エンジニアサイドのPMは、いわゆる技術者出身で、技術要件をよく理解しています。

技術手法やシステム構造に造詣が深いことが強みです。

 

もちろんPMとしては、ビジネスサイドとエンジニアサイドの両方の素養を持っていることが望ましいです。

両方を素養として持っているPMもいますが、その数は非常に少ないです。

また、エンジニアに近いPMほど、ビジネスサイドに近い領域を嫌がる傾向にあるかと思います。

なぜPMは育成が難しいのか、その理由

大前提として、プロジェクトは失敗できません。

 

そのため、新人にはプロジェクトを任せられず、新人がPMとして育っていきません。

 

では誰がプロジェクトを回しているのか?

多くの企業ではベテランがプロジェクトを回しています。

そのため、ベテランに仕事が集中して、新人の指導にあたる時間を確保できない、という悪循環に陥っている会社がかなり多いのではないでしょうか。

 

プロジェクトマネジメントにおいて、ベテランPMを見て学ぶ、テキストを読んで学ぶ、ということはかなり難しいです。

プロジェクトマネジメントはスポーツと一緒で、実際にやって学び、というのが一番伸びますが、そうした環境を用意できないこと企業がほとんどかと思います。

PM力の鍛え方について

先述の通り、PM力はスポーツと同じで、やって学ぶ、そして先輩のPMkら指導・指摘をもらって行動を修正していく、というのが最もPM力が育ちます。

 

本来であれば、新人PM向けにエンジニア1、2名程度の小規模・簡単なプロジェクトがあって任せられる、というのが一番良いです。

座学であっても、架空のプロジェクトを立ち上げ、遂行していくことで学ぶ、という方法もあります。

 

ただし、2、3年目の駆け出しのPMであれば、これはケーススタディを学ぶという意味で良いかもしれませんが、限界があります。

 

2、3年目のPMであれば、基本的な進め方を知っているという前提で、ベテランPMから、より実践的な進め方や根回し、コミュニケーション…などについて指摘をもらうことで、さらに成長できるでしょう。

 

PM力をつけるには、実際にプロジェクトを回していくことが必要不可欠です。その上で先輩PMからの指導・指摘があることが大事になります。

 

ただし、ベテランのPMにプロジェクトが集中してしまっていて、「誰が指導するの?」といった問題があるでしょう。

PMに求められる素養

PMにはハードスキルとソフトスキルの大きく2つのスキルが求められます。

 

|ハードスキル

 

ハードスキルは学べるものです。

 

例えば、管理(予算、タスク、スケジュール…など)スキルや技術面のスキルです。

 

|ソフトスキル

 

重要となるのが、ソフトスキルです。

 

これは問題解決能力やコミュニケーション能力など、本を読んでも育つものではなく、実際にプロジェクトを回さないと身につかないようなスキルです。

 

例えば、急に「人間関係の構築に長けるようになれ」と新人にいっても無理な話です。

「PMは話すことが仕事」だと思いますが、それがPM育成で難しいところです。

 

そのほかにも、具体的には次のようなスキルが求められてきます。

 

・プロジェクトを俯瞰的に見ることができる

・人間関係の構築に長けている

・抽象的なふわっとした事象を文字化できる、説明できる

・トラブルや時間経過など、変化に柔軟に対応できる

・マネージャーとしてメンバーを指導、教育し、チームを底上げしていくことができる

 

今の国内IT業界は、こうしたソフトスキルに素養のない人もPMとしてアサインされてしまっているのが現状です。

PMに向いていない性格

PMに向いていない性格、というのもあります。

 

例えば、具体的には次のようなものです。

 

|コミュニケーションが苦手

 

人と話すことができない、人の目を見て話せない、など。

特にこのIT業界においては、このような人も多いのではないかと思います。

 

|計画力が十分でない

 

そもそも計画ができない、時間の見積もりができない、など。

 

|管理能力に乏しい

 

他の人の動き、状態、進捗の管理などができない、など。

 

|想定外の事象や急なトラブルに弱い人

 

失敗するとパニクってしまう、など。

 

|人を巻き込めない

 

プロジェクトは一人で進めるものではなく、プロジェクトを進めるには周りの協力が必須になります。

それをスムーズにできない、周りに頼ることができない、など。

PM育成について

上記の内容を受けて、PM育成が難しいことはお伝えできたかと思います。

その上で、Tanocy JapanではどのようにPM育成をしているのかを紹介します。

 

|ペアプロジェクトマネジメント

 

ペアプログラミングという、2人で一緒にプログラムを組む、という手法があるかと思います。

これのプロジェクトマネジメントVerということで、ペアプロジェクトマネジメントというものを採用しています。

 

やり方としては、新人がプロジェクトを推進するPMを担当します。

その上で、仕様書などのドキュメント作成やコミュニケーションなど、先輩PMが1個1個レビューしながら進めていくので、新人であっても先輩PMレベルまでプロジェクトの品質レベルを高めることができます。

 

もちろん、お金の問題やトラブルなど、難しい交渉が発生した場合は、柔軟に先輩PMに代わって対処していきます。

 

段取りからコミュニケーション(簡単なものから難しいものまで)まで、新人に実践的に学んでもらえる体制を用意し、プロジェクトを推進しています。

 

本来、PMは1人をアサインするものなので、その分コストはかかってきます。

しかし、PMを担える人材の育成の重要性の観点からTanocy Japanではこのような体制を積極的に採用しています。

どうしたらPMが増やせるのか

本来、ベテランPMを採用できるのが一番良いですが、PMは非常に希少で、単価も高額です。

 

そもそもベテランPMは人数がいない、給与も高騰している、ではどうすればよいのか?

素養のある新人をPMに引き上げていくのが現実的には良いのではないでしょうか。

 

|新人PMとして、どういった人材であれば素養があるのか

 

次のような内容がクリアできる音であれば、PMとして基本的な素養はあると考えられます。

 

・コミュニケーションが苦にならない

・お客様を第一に考えられる

・スケジュールを守れる(提出物が期日通り、時間を守る、など)

・嘘をつかない

 

また、真面目過ぎない、ということも望ましい素養です。

もちろん真面目であることは大切です。ただし、真面目すぎると、難しい問題、解決が困難な問題についても、真正面から向き合ってしまう。そのため、ストレスがかかり、体力的に死んでしまう、というケースも考えられます。

 

こうした問題はプロジェクトマネジメントをしていると、よくあります。時には柔軟に別の方法を探る、迂回したり別ルートを探す動きができる、など、真面目過ぎないタイプの人間の方がPMに向いているでしょう。

タノシージャパンではPM志望の方を積極採用中

タノシージャパンではPM志望の方を新卒・中途問わず通年採用を行っております。

説明会は随時開催しております。ご興味のある方は以下までご連絡下さい。

 

採用担当:kei-takeuchi@tanosyinc.com (CC: nomura@tanosyinc.com )

 

タノシージャパン株式会社

 代表取締役 武内 啓

日本国内のクライアントを対象に、事業アイデアの提案からプロダクト開発、成長に至るまでを支援しております。
課題抽出から価値検証、開発からグロース・機能拡充に至るまで、サービス立ち上げに必要なプロセスをカバー致します。

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