最終更新日:2023/10/06

RPA導入を成功させるために知っておくべきメリットデメリットや導入の進め方を解説

国内の労働人口減少や働き方改革などの影響もあり、業務効率化はどの企業にも大きな課題ですが、業務効率化・省人化のためにさまざまな方法を模索する企業にとって役立つツールとして注目を浴びているのが「RPA」です。2017年のガートナージャパン株式会社による調査(*)では、国内の企業の14.1%がRPAを導入済みであり、6.3%は導入中という結果が出ています。

 

本テキストでは、RPAの仕組みやできること、メリット・デメリットを始めとしたRPAの基礎知識から、RPAを導入する手順、ツールや事例についても解説していきます。

* 参考:「ガートナー、RPAに関する調査結果を発表

RPAとは?

■ RPAとは?

RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」のこと。人間が行っているPC上の定型業務を自動化する技術であり、ソフトウェア内のロボットがさまざまな業務を人に代わって行うことができます。

 

■ RPAがなぜ注目されている?

RPAは社内にある既存のシステムに影響を与えず取り入れることができ、ボットの作成にプログラミングを必要としません。低コストで導入期間も短く、導入への障壁が低いため、業務効率化の手段の一つとして近年大きな注目を集めています。

 

株式会社矢野経済研究所が行った2020年のRPA市場に関する調査(*)によると、RPA市場規模は増加の一途をたどり、2019年度には事業者売上高ベースで529億7,000万円となっています。これは前年度に比べると56.7%も増加している数字であり、RPAはブームの段階をすでに終え、今後は利用拡大のフェーズに入っていく見込みです。

* 参考:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2599

RPAでできることは?

■ RPAの仕組み

人が行っている業務手順をシナリオ化し、それをロボットに覚えさせるというのがRPAの仕組みです。ロボットに業務の手順を教えることで定型業務を自動化することができます。

 

■ RPAでできること

データ入力や伝票作成など、主に事務的な定型作業に使われることが多いRPAは、Excelのマクロとよく比較され、できることも似ていますが、Office内の作業しか行えないマクロとは異なり、PC上のほぼすべての操作を行うことができ、容量の大きいデータもマクロより速く処理することができます。

 

RPAには働く時間の制限がないため、24時間、365日稼働することができます。業務時間外に次の日に必要なデータ入力や管理を任せる、という使い方もできます。

 

■RPAの機能

一般的に、RPAは「解析・記録機能」「プログラム作成・編集機能」「実行機能」の2つの機能からなるツールです。それぞれの機能の内容は下記のとおりです。

 

【解析・記録機能】画面上の操作を解析し、記録します。

【プログラム作成・編集機能】解析機能で解析・記録した操作をもとにワークフローを作成。これらのフローを連結してプログラムを作成します。

【実行機能】作成したプログラムを実行します。

 

■RPAの限界

基本的に、RPAは人間がPC内で行っている定型業務であれば、ほとんどの業務をこなすことができますが、人が行う高度な判断をRPAに代行させることはまだまだ難しいのが現状です。今後はAIを組み込んだり連携したりすることでさらに便利なものになっていくとも予測されていますが、現時点ではワークフローに落とし込める定形作業に限られてしまいます。

 

また、RPAはロボットが人の代わりに定型業務を行うという仕組みのため、バックグラウンドで処理を行うということはできません。使用している間はRPA専用のPCとなってしまうことも注意しておきたいポイントです。

RPAのメリットデメリット

ここまでRPAについて解説してきましたが、RPAにはさまざまなメリット・デメリットがあります。改めて確認しておきましょう。

 

■ RPA導入のメリット

・業務の効率化

RPAを導入することで得られる最も大きなメリットは業務の効率化です。手作業で行っていた定型業務をRPAに任せることで、従業員は高度な業務やクリエイティブな業務に時間を割くことができます。

 

・時間の削減

従業員がいない夜中にRPAを稼働させておくことで、次の日に必要なデータが朝には出来上がっている、というように時間を有効活用することもできます。業務効率化にもつながりますが、これも大きなメリットでしょう。

 

・コストカット

時間を有効活用でき、業務を効率化することができれば、定型業務にかかっていた人件費を削減することができます。

 

・シナリオの見直しや修正が可能

RPAは、作成したらもう変えられないというものではなく、現場でもシナリオの修正が可能です。業務内容が変わっても柔軟に対応することができます。

 

■ RPA導入のデメリット

・業務の洗い出しが必要

便利なRPAですが、業務の洗い出しができていないとワークフローに落とし込むことができません。シナリオを作成するためには業務内容の手順を整理しておくことが必要なので、現場レベルで臨機応変に日々の業務を行っている場合は、そちらを先に進める必要があります。業務の洗い出しに時間がかかると、RPAの導入もその分遅れますので、スムーズに導入する、ということが難しくなります。

 

・教育に時間がかかる

RPAはロボットの新入社員を雇うようなもの。新入社員には教育や研修が必要ですが、RPAも同じです。シナリオを作ってプログラムを実行しても、何らかのエラーで作業がうまく進まない、ということは導入初期には当たり前のように起こる事態です。それらのエラーを根気よく解決し、RPAがうまく業務をこなすまでは、RPAにつきっきりになる担当者が必要となります。

 

・定期的なメンテナンスが必要

OSや連携アプリのアップデートなどで、エラーが起きて停止してしまうこともあるため、定期的にメンテナンスが必要です。

 

・バックグラウンドで作業できない

前述したとおり、RPAはバックグラウンドで作業を行うことができません。シナリオが問題なく稼働してからであれば、従業員が使っていない間に稼働させる、という使い方もできますが、導入初期には必ずRPA専用のPCが必要となります。

RPAを導入するステップ

すでに解説したとおり、RPAを導入するには、まずは業務の洗い出しが必要です。RPAに任せたい業務はどのような業務で、どのような手順で行われているのか、整理することから始める必要があります。

 

■RPAを導入する6つのステップ

RPAを本格導入するステップは、下記のとおりです。

 

  1. RPAに任せる業務を洗い出し、整理する
  2. 適したRPAツールの選定
  3. RPA導入
  4. 動作テストや検証
  5. 検証によって生まれた課題を整理、RPAを修正
  6. 本格稼働開始

 

RPAが本格稼働した後は、定期的にメンテナンスや業務見直しによる修正を行わなければなりません。

 

■RPAの選定ポイント

RPAを選定する上で知っておきたいのが、RPAの種類です。RPAは「クライアント型」「サーバー型」「クラウド型」の3種類に分けられます。

 

・クライアント型

PCごとにRPAをインストールするため、それぞれのPCの業務を効率化するタイプのRPAです。PCの数だけツールが必要となりますが、PC1台から始められるので初期費用を抑えることができます。PC1台で稼働するため、大量のデータ処理は難しいようです。

 

・サーバー型

複数のパソコンで利用することができるサーバー型は、自社サーバーにRPAをインストールし、ロボットをサーバー上で一括管理できます。クライアント型に比べ、大量のデータを扱うことができますが、初期費用が比較的高額です。

 

・クラウド型

クラウド上で作業を自動化するのがクラウド型のRPAです。PCにインストールする必要がなく、アップデートも自動で行われるのが便利なRPAです。近年、このタイプが増加傾向にあるようですが、セキュリティに不安がある、PCに直接インストールしたソフトやアプリの起動ができないなど、デメリットも存在します。

RPAツールの紹介

RPAツールにはさまざまな製品がありますが、中でも代表的なものをご紹介します。

 

■ UiPath

世界中に導入実績のあるUiPathは、もっとも有名なRPAツールの一つです。日本語サポートも用意されており、ツールの日本語化も行っています。

サーバー型にもクライアント型にも対応しており、動画によるチュートリアルや、オンライントレーニング、またコミュニティで困ったことを相談することもできます。

 

■ WinActor 

国内シェアNo.1のRPAツール「WinActor」は、NTTグループが開発した国産RPAです。Office製品など、Windowsで操作可能なほぼ全てのアプリケーションに対応しており、サーバー型とクライアント型、どちらも利用可能です。

 

■ BizRobo! 

豊富な開発・運用実績を誇り、経産省や大学病院などでも利用されているBizRobo!はRPA テクノロジーズ株式会社が提供している、サーバー型・クライアント型どちらにも対応しているRPAです。さまざまな業界や業種に精通したパートナーと連携しているため、効率化したい業務に最適な活用方法を提案してもらえます。

 

■ Blue Prism

2001年、イギリスの金融機関のバックオフィスから生まれたというBlue Prismは、世界で1,000社以上に利用されているRPAです。Blue Prism社は世界で最も歴史あるRPAソフトウェアベンダーであり、サーバー型のRPAであるBlue Prismは複数ロボットの統制管理に力を発揮します。

 

■ SynchRoid

ソフトバンクが提供する、プログラミングの知識を必要とせず、手軽に使えるRPAです。サーバー型・クライアント型どちらにも対応しており、エンジニアが遠隔で開発をサポートしてくれる無料サービスも用意されています。

まとめ

近年、多くの企業で導入されているRPA。導入してしまえば非常に便利なツールですが、導入初期に業務の整理やシナリオの作成など、多少手間がかかるツールでもあります。2018年には、2019年に施行される働き方改革に合わせて、富士通グループなど6社のITベンダーがRPA市場への参入を表明しました。国内企業だけでなく、ベトナムのIT大手企業「FPTソフトウェア」の日本法人である「FPTジャパン」がオフショア開発ベンダーとして日本のRPA市場に本格参入しています。

 

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