SIerとは?SESの違い、業界別分析、適性とスキル、業界の未来 |
公開日:2024/08/29 最終更新日:2024/08/29
SIerとは?SESの違い、業界別分析、適性とスキル、業界の未来
PCやスマートフォン、インターネットの普及は近年目覚ましく、これらを全く活用していない企業は現代においてはほぼないのではないでしょうか。また、多くの企業が何らかのシステムを業務において使用しています。
そのため、ITに精通した人材は多くの企業で求められていますが、人材不足などの理由から、自社にIT担当やエンジニアがいない、という企業も少なくありません。
そんな時に頼りになるのが、今回解説するSIer(エスアイヤー)です。
本記事では、SIer(エスアイヤー)とは何か、SESの違いといった基礎知識に加え、SIer企業の種類や適性、SIer分野の将来の展望とトレンドについても解説していきます。
SIer(エスアイヤー)とは
SIerとは、System Integration(システムインテグレーション)の略称である『SI』に、『〜する人・もの』を指す『er』がついた言葉です。System Integrator(システムインテグレーター)の略称ともいえます。意味は、『システムインテグレーションを行う者』ですが、『システムインテグレーションを行う企業』という意味も持ちます。また、『システムインテグレーションを行う企業』のことを『SIer企業』と記載することも多いようです。
システムインテグレーションとは、システムの企画・設計・開発・導入・運用保守などを請け負うサービスや事業のことです。
SIerは和製英語であり、海外では略さずにSystem Integrator(システムインテグレーター)と言います。
SIerは、金融、製造、流通、小売、公共など、さまざまな業種の顧客に対して開発やコンサルティング、導入支援や運用保守といったITに関わる各種サービスを提供しています。
SESとの違い
SIerとよく混同されるのがSES(システムエンジニアリングサービス)です。SESは、SIerと同様にシステム開発や運用保守を行うサービスですが、主に以下の点でSIerと異なります。
- 契約形態 一般的にSIerは請負契約を、SESは準委任契約を締結する。
- 責任範囲 SIerはシステム全体に対する責任を負うが、SESは個々のエンジニアの労働力に対する責任のみを負う。
- キャリアパス SIerはプロジェクトマネジメントやコンサルティングなどのキャリアパスがあるが、SESはエンジニアとしての専門性を磨くキャリアパスが一般的である。
雇用形態
先に述べた通り、SIerは成果物に対して報酬が支払われる『請負契約』を、SESは稼働時間に応じて報酬が発生する『準委任契約』を締結することが一般的です。
SESは稼働時間に応じて報酬が支払われるため、長時間労働は少ない傾向がありますが、SIerは成果が求められますので報酬額が高い傾向にある反面、責任も重くなります。
年収や待遇
SESは一般的に三次受け以下の下請けとして受注する案件が多いため、一次受け二次受けを担当し、上流工程を担うSIerに比べると年収が低い傾向にあります。一般的に、年収や待遇においてはSESよりもSIerの方が高いと言えます。
SIer企業の種類
さまざまな業界の顧客に対して、システムの企画・設計・開発・導入・運用保守などを請け負うサービスや事業を提供するSIer企業は、大きく『メーカー系』『ユーザー系』『独立系』『外資系』の4つに分類されます。
メーカー系SIer
株式会社日立ソリューションズや、NECネッツエスアイ株式会社など、メーカーの子会社や関連会社が設立したSIer企業です。自社の製品を活用したシステム開発に強みを持っており、公共事業など大規模なプロジェクトを担当することが多い企業です。システムや開発関連の部門が親会社から独立するケースも少なくないようです。
ユーザー系SIer
商社系、金融系など、メーカー以外の一般企業が親会社であるSIer企業には、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社や株式会社NTTデータなどがあります。それぞれの顧客業種に特化したノウハウを持っており、幅広く事業を展開しているという特徴があります。
独立系SIer
前述したメーカー系、ユーザー系とは異なり、親会社を持たないSIer企業はシステム開発をメインとしている企業が多く、メーカー系、ユーザー系のSIerよりも下請けを担当することが多い企業です。株式会社SRAホールディングス、株式会社大塚商会、株式会社オービックなどが有名な独立系SIerです。
外資系SIer
グローバルな展開力と先進的な技術を持つ外資系SIerには、日本アイ・ビー・エム株式会社やデロイト・トーマツ・コンサルティング合同会社、アクセンチュア株式会社など、有名企業が多く存在します。
SIerに適性のある人(必要スキル)
SIerとして活躍するには、コミュニケーション能力や論理的な思考力、柔軟性といったスキルが求められます。
コミュニケーション能力が高い
SIerには要望や課題といった顧客のニーズを正確に把握し、適切な解決策を提案、それらを関係者に伝えることができる能力が必要不可欠です。プロジェクトを円滑に進めるため、高いコミュニケーション能力が求められます。
論理的な思考力を持っている
システムを設計・開発するためには、論理的に思考し、問題を解決する能力が必要です。顧客の要望や課題を分析し、そこから原因を洗い出して仮説を立てて検証を行います。それを元に解決策を導き出します。
コミュニケーションにおいても論理的な思考力は説明や反論を行うのに重要なため、こちらも必要不可欠な能力だと言えるでしょう。
柔軟性
システム設計や開発にはトラブルや急な仕様変更などが起こることも。顧客のニーズや状況に合わせて、柔軟かつ臨機応変に対応できる能力が必要です。
その他
その他にも、プログラミング言語、データベース、ネットワークなどのITスキルはもちろん、プロジェクトをマネジメントし、チームを率いることができるマネジメントスキルも求められます。
SIer分野の将来の展望とトレンド
企業のデジタル化が進む今、情報システムの需要はこれまで以上に高まっていますし、クラウドサービスの利用拡大に伴い、クラウド関連のSIerサービスの需要も高まっています。
また、最近ではAIやIoTなどの新技術を活用したシステム開発の需要が高まっています。システム開発が存在する限り、SIer分野は今後も市場規模が拡大していくことが予想されています。
SIerの市場規模
SIer市場は10年連続で拡大しており、今後も拡大していくことが予想されています。総務省の調査によると、2020年の情報サービス業の市場規模は18兆7,928億円であり、そのうちSIerのメイン業務である「受託開発ソフトウェア業」が8兆7,673億円と約半分を占めています。また、矢野経済研究所の調査では、2023年度のIT市場の規模は前年度比5.4%増の14兆9300億円となる予測となっています。
すでに述べた通り、企業のデジタル化が加速している現代においては、情報システムへの投資も増加しています。また、クラウドサービスやAIなどの新技術の普及もSIer市場の成長を後押ししています。
今後も、SIer市場は安定的に成長していくことが予想されます。
SIerを職業とするメリット
先述したように、SIer市場は今後も成長が見込める業界です。SIerを職業とするメリットはそれだけでも大きいと言えますが、その他にもさまざまなメリットがあります。
技術ノウハウを生かせる
SIerは、さまざまな業種の顧客に対してシステム開発や運用保守を行う職業であるため、幅広い技術ノウハウを蓄積することができます。これらのノウハウは、転職や独立の際にも役立ちます。
また、SIerという職業は常に新しい技術を学んでいく必要があります。そのため、常に最新の技術に触れることができ、自身のスキルアップにもつながります。
長期的な付き合いが期待できる
SIerは、顧客のシステムの企画や開発だけでなく導入や運用保守も請け負う業務であり、顧客と長期的なパートナーシップを築くことができます。顧客の信頼が厚ければ、安定した仕事の受注にもつながるでしょう。
長くお付き合いを続けることができれば、顧客の課題やニーズを深く理解することができ、より顧客に最適なシステムを提案・提供することができます。
そのようなSIerやSIer企業が増えれば需要も自然と高まり、さらにSIer市場の拡大につながるでしょう。
まとめ
近年、IT化は加速の一途を辿っていますが、それに反して国内のIT人材不足は深刻な状況が続いており、海外のITアウトソーシングを活用する企業も増加しています。
コスト削減を大きな目的として1970年代当初に利用されていたオフショア開発は、近年では優秀な人材を確保する方法の一つとして選択されることが増えてきました。さまざまな開発手法を熟知した経験豊富な人材を国内だけで探すのは難しくても、海外に目を向けることで優秀な人材に出会うことができます。
「オフショア開発. com」は、厳正な審査を通過した、オフショア開発企業が多数パートナーとなっております。今回解説したようなSIer企業もご紹介できます。
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