最終更新日:2023/10/11
Spring Frameworkとは?Java開発者のための完全ガイド
本記事では、Spring Frameworkについて解説します。Java開発者のための完全ガイドとなっておりますので、ぜひ参考になさってください。
|この記事でわかること
・Spring Frameworkの概要
・Spring Frameworkの歴史や主な特徴
・Spring Frameworkのメリットとデメリット
Spring Frameworkの基本
|Frameworkとは?
「Framework:フレームワーク」とは英語で枠組みや骨組みを表す言葉であり、開発において土台となるソフトウェアのことです。
既存アプリケーションの骨組みを再利用することで、大まかな部分がすでにできている状態になるので、あとは足りないものを開発するだけ。効率的に開発を行うことができます。フレームワークについては、以前『Javaフレームワーク』について解説した記事があるのでそちらをご一読ください。
https://www.offshore-kaihatsu.com/contents/general/javascript-hikaku/
|Spring Frameworkとは
Spring FrameworkはJavaフレームワークの一つです。JavaだけでなくGroovyやKotlinにも対応しています。単に『Spring』とも呼ばれることが多いため、今回のテキストでも、本文内では『Spring』で統一します。
オーストラリアのプログラマーであるロッド・ジョンソン氏が2002年にリリースしたフレームワークをもとに、2004年にバージョン1.0がリリースされました。その後も継続して更新され、今も利用者が増え続けているフレームワークであり、多くの開発に利用されています。
|フレームワークの重要性とSpringの位置づけ
先述したように、フレームワークとは開発において骨組みとなるプログラムであり、フレームワークを活用することで大まかな部分のソースコードを記述する必要がなくなります。当たり前ですが、ゼロから構築するよりもフレームワークを使った方が開発の効率は飛躍的に上がるため、今や多くのプロジェクトがさまざまなフレームワークを活用しています。
現代の開発において重要な存在であるJavaフレームワークですが、以前掲載したJavaフレームワークのテキストでは、代表的なフレームワークとしてAngularとVue.jsをご紹介しました。
これらのフレームワークとSpringの大きな違いは、歴史の長さや汎用性の高さです。国内大手企業もSpringを活用しており、多くのモジュールと組み合わせた柔軟なカスタマイズが可能な点や、複雑なアプリケーションに対応できる点が、現在も多くのプロジェクトの開発に活用され続ける理由と言えるでしょう。
|Spring Frameworkの歴史
冒頭でも少し触れましたが、Springはオーストラリアのプログラマーであるロッド・ジョンソン氏が2002年にリリースしたフレームワークをもとに、バージョン1.0が2004年にリリースされたものですが、2002年に発表されたジョンソン氏の著書『Expert One-on-One J2EE Design and Development』と共にリリースしたものが前身となっています。
2006年にはJolt productivity awardを受賞。高い評価を受けました。日本でSpringが活用され始めたのもこの頃です。日本国内において広く普及したのは2009年のバージョン3.0以降だと言われています。
|Springの登場背景
Springは、それまでの複雑な開発に代わる、新たな開発手法として生まれました。もともとは軽量フレームワークによる開発手法だったのですが、バージョンを重ねるにつれて軽量とは言えない規模となったようです。
|Spring Bootとの関連
『Spring Boot』というフレームワークがあります。Springを元にして2014年に生まれたのがこの『Spring Boot』です。Webアプリケーションを構築するための設定があらかじめ定義されているため、Springよりもはるかに簡単にWebアプリケーションを作成できます。
Springをベースとして誕生したSpring Bootは、Springをより便利に使うためのフレームワークですので、活用するにはSpringの知識やスキルが必要です。
Spring Frameworkの主な特徴
ここまで、Springの概要について解説してきました。他のフレームワークとの違いにも少し触れましたが、この項ではSpringの特徴について理解を深めていきます。
|DI (Dependency Injection): 依存性の注入とは
Springの大きな特徴の一つがDIです。DIとは『Dependency Injection』の略であり、日本語では『依存性の注入』と訳されますが、言葉だけだと非常にわかりにくいです。
プログラムにおいて『依存』とは、構築や実行の際に他のプログラムが必要な状態を言いますが、他のプログラムに依存しているプログラムは保守やテストがしづらいため、それを解決するのがこのDIなのです。
DIは依存関係を別のプログラムから受け取り、プログラム同士の依存関係を薄くすることができます。そのため、プログラムを独立した状態にし、保守やテストを容易にすることができるのです。
|AOP (Aspect Oriented Programming): アスペクト指向プログラミングの魅力
AOPとは『Aspect Oriented Programming』の略であり、日本語では『アスペクト指向プログラミング』と訳されます。こちらもSpringの大きな特徴の一つです。プログラム内を横断する機能をモジュール化することで、全体の共通処理をまとめることができるため、プログラムがシンプルにまとまり、保守性も向上するという利点があります。
|豊富なモジュールと機能
多くのモジュールや機能が提供されているSpringなら、プロジェクトごとに必要な機能を選定して採用することができ、開発をスムーズに進めることができます。
|アクティブなコミュニティ
オープンソースのフレームワークであるSpringには、大規模でかつアクティブなコミュニティがあります。さまざまなケースにおいてフィードバックを継続的に提供しており、これまでの長い歴史の中で多くの進化を遂げてきました。
Spring Frameworkのメリット
Springの特徴とも重複してしまう部分もあるのですが、改めてSpringのメリットとデメリットについても確認しておきましょう。
|生産性の向上
DIやAOPによって保守やテストが容易になるSpringは、多くのモジュールや機能も備えており、これらを活用することで、生産性の向上が見込めます。
|高い拡張性
Springは高い拡張性を持つため、幅広い開発に利用できます。Webアプリケーションだけでなくクラウドやデータベース関連のサービス、各種バッチの開発にも活用されています。
|セキュリティ対策
Springを構成するプロジェクトの一つに『Spring Security』というライブラリがあります。Springを活用して作られたアプリケーションに対してセキュリティを強化するものであり、認証タイプや認証の際の設定も選択が可能です。カスタマイズもできるので多くのプロジェクトで活用されています。
|テストの容易さ
こちらはすでに触れた通りですが、SpringにはDIやAOPなど、保守やテストを容易にするさまざまな手法があります。また、色々なテストに対応したライブラリも豊富なため、テストの容易さもSpringを活用する上で大きなメリットの一つと言えるでしょう。
Spring Frameworkのデメリットと対策
メリットに続き、Springのデメリットについても見ておきましょう。
|学習コストの問題
Springには豊富なモジュールと機能があり、高い拡張性を持つという特徴があります。そのため、学習することも多いと言えます。それなりにJavaに関する知識がないとSpringをいきなり理解することが難しいため、学習コストの高さはSpringのデメリットの一つと言えます。
とはいえ、近年はSpring bootなどSpringでの開発をよりスムーズにするフレームワークも登場していますし、多くのプロジェクトに活用されているSpringですから、学習コストに見合うメリットも多いと考えられます。
|メモリや実行速度の懸念点
柔軟性や拡張性に優れたSpringは、大規模な開発にも多く活用されており、アプリケーションのメモリ使用量が比較的大きい傾向にあります。また、機能の豊富さが実行速度の低下を招くこともあるため、利用環境や要件などをしっかり確認した上で活用することが望ましいと言えます。
|まとめ
デジタル化は進んでいてもトランスフォーメーションはなかなか進んでいない日本において、DX化は急務といえどなかなか難しいのが実情です。大手企業はDX人材の育成を積極的に進めていますが、育成にはコストも時間もかかるため、国内のIT人材不足はまだまだ深刻な状況が続くと思われます。
オフショア開発は1970年代から始まったと言われており、当初はコスト削減を目的として採用する企業がほとんどでしたが、近年では人材のレベルが大きく上がり、優秀な人材を確保する方法の一つとして選択されることも多くなりました。
今回解説したSpringは国内では東芝などの大手企業が活用しており、日本でもメジャーなフレームワークですが、学習コストが比較的高いため、Springに精通したIT人材を国内だけで探すとなると、採用のコストや手間が増えてしまうという問題が発生します。
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