最終更新日:2025/06/06
INDEX
リモートワークが普及し、現代ビジネスにおいてはセキュリティを確保しながら柔軟な働き方を実現する必要性が高まっています。VPNサーバーはこの課題を解決する重要なツールとなっています。
本テキストではVPNサーバーのメリットやデメリット、構築方法などについて解説します。
VPNサーバーとは
VPNは「Virtual Private Network」の略で「仮想プライベートネットワーク」という意味です。オフィス以外のインターネット回線を使う際でも、既存のインターネット回線の上に特定の利用者だけがアクセスできる専用の通信経路を構築する技術です。
VPNを利用した通信では、通信データを暗号化し、インターネット上に構築された専用の仮想トンネルを通じて安全に送信します。そのため、外部からの盗聴や改ざんを防ぐことができます。
VPNサーバーとはVPNを利用した通信を行うために必要な機能を担うシステムです。データの暗号化や利用者認証、専用通信路の構築、社内リソースへの安全な接続などの機能を提供します。
VPNサーバーの種類
VPNサーバーには主にインターネットVPNとIP-VPNがあります。この項ではそれぞれのVPNについて解説します。
インターネットVPN
インターネットVPNは既存のインターネット回線を利用してVPN接続を構築するタイプの
VPNです。下記のような特徴があります。
- 仕組み:一般のインターネット回線上に暗号化された通信経路を確立する
- 特徴:導入コストが低く、比較的短期間で導入が可能
- 暗号化方式:IPsec、SSL/TLSなどの暗号化技術を採用
- 適した企業規模:小規模事業者や拠点数が少ない企業
既存のインターネット回線を使用するため、通信速度が変動することがありますが、コストパフォーマンスに優れており、導入ハードルも低いところが魅力です。
IP-VPN
IP-VPNは、通信事業者が提供する専用のネットワークを利用するタイプのVPNです。
- 仕組み:インターネットと分離された専用ネットワークでデータをやり取り
- 特徴:高いセキュリティと安定した通信品質、外部からのアクセスを物理的に遮断
- 暗号化方式:専用回線による物理的隔離が主な防御策、追加の暗号化も可能
- 適した企業規模:中〜大規模企業、拠点数が多い企業、機密性の高い情報を扱う業種
IP-VPNは通信事業者が提供する専用のネットワークを使用するため、既存のインターネットを経由せず、外部からの攻撃リスクが大幅に低減されるのが大きなメリットです。
通信速度も安定しているため、重要な業務データを扱う企業に適しています。ただし、導入コストはインターネットVPNより高くなる傾向があります。
VPNの利用メリット
VPNの利用メリットは主に「どこからでも社内ネットワークにアクセスできる」「セキュリティが強化される」「セキュリティ面のコストを抑えられる」「簡単に設置や管理ができる」の4つです。それぞれについて解説していきます。
どこからでも社内ネットワークにアクセスできる
VPNの最大のメリットは、どこにいても社内と同等の業務環境を実現できることでしょう。自宅、カフェ、出張先のホテルなど、インターネット環境があればどこからでも社内システムに安全に接続できます。
複数の拠点を持つ企業であれば、拠点同士で簡単にデータを共有することもできますし、海外とのデータのやり取りも安心して行えるため、オフショア開発にも活用可能です。
セキュリティが強化される
VPNは通信データを暗号化するため、情報漏えいのリスクを低減することができ、外出先での業務を安心して行うことができます。顧客情報や企業秘密など、機密性の高いデータを扱う企業には特に重要なメリットと言えるでしょう。
セキュリティ面のコストを抑えられる
専用線サービスでは距離に応じてコストが高くなることがありましたが、VPNでは距離に関係なく一定のコストで済みます。これにより、地理的に離れた拠点同士の接続にかかるコストを抑えられます。
簡単に設置や管理ができる
VPNは簡単に設置や管理ができるのも大きなメリットです。特にインターネットVPNでは既存のインターネット回線を活用するため、比較的短期間での導入が可能です。
また、多くのVPNシステムは、管理画面も昔に比べて圧倒的に使いやすくなっており、ITに関する専門知識が少なくても運用できるようになっています。
自動アップデート機能を備えているシステムも多く、最新のセキュリティ対策を常に維持できます。
VPNの利用デメリット
VPNには多くのメリットがありますが、もちろんデメリットも存在します。
接続台数に上限がある
多くのVPNサービスでは、同時接続可能な端末数に上限を設定しています。企業規模が大きくなると、台数を増やすために追加コストがかかるため、事業の成長を見据えたプランを選択する必要があります。また、接続台数が上限に近づくと、全体的な通信速度が低下することがあります。
拠点数が多くなると管理が難しい
VPNは拠点ごとに個別の設定を必要とするため、拠点数が増えるほど管理の手間が増えます。拠点が増えることでトラブルが発生した際の原因特定に時間がかかったり、対応が難しくなったりすることがあります。
自社で「インターネットVPN」を構築する方法
既存のインターネットを活用できるため、小〜中規模の事業ではインターネットVPNを選択する企業が少なくないようです。また、IP-VPNの場合は業者に構築を依頼するため、この項では自社でインターネットVPNを構築する際のポイントについて解説します。
インターネットVPNを利用する際のポイント
VPN構築の流れは、ソフトウェアをPCにインストールし、VPNサーバーを設置する会社側の拠点にVPN対応ルーターを設置します。
自宅、出張先、カフェなど、接続する側では特別な機器は不要です。既存のインターネット環境があれば、どこからでも会社のVPNサーバーに接続できるのがインターネットVPNの大きなメリットです。
会社側でルーターを選ぶ際には、VPNに対応しているかを必ず確認しましょう。ソフトウェアをインストールしたら管理者パスワードの設定を忘れずに行い、接続確認を行って問題なければ完了です。
セキュリティ面では、適切なプロトコルの選択が重要です。IPsecやL2TP/IPsecなど安全性の高い方式を選びましょう。管理者パスワードは強固なものに設定し、初期パスワードのままの運用は避けるべきです。
運用開始後は定期的な監視とメンテナンスが重要です。不審なアクセスがないかログを確認し、ソフトウェアやファームウェアの更新を定期的に行ってください。
退職者のアカウント削除や部署異動時の権限見直しも忘れず行いましょう。業務に必要な最小限のリソースのみにアクセスを制限することでセキュリティを保つことができます。
VPNサーバーの構築と運用にはそれなりの専門知識が必要なため、技術的な知識や管理体制に不安がある場合は、専門業者への依頼を検討することをお勧めします。
VPNを使って安全に社内ネットワークにアクセスしよう
テレワークの普及により、VPNの重要性はますます高まり、外部でデータにアクセスする際の情報漏洩リスクへの問題意識も高まっています。
VPNの導入はセキュリティ対策としてだけでなく、働き方の多様化や事業継続性の確保、業務効率の向上にも大きく貢献します。自社の規模や業務内容、予算に合った最適なVPN環境を構築しましょう。
近年ではオフショア開発を活用する企業も増えており、オフショア開発にもVPNはとても役に立ちます。
VPN構築も含め、オフショア開発について疑問点などあればぜひ、オフショア開発.comの専門コンシェルジュへの無料相談をご活用ください。
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