最終更新日:2025/08/26
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顧客情報を一元管理することで営業やマーケティングに役立つCRMシステム。多くの企業で活用されている便利なシステムですが、導入を検討する際に気になるのはやはり費用でしょう。
本記事ではCRMの基本概念から費用相場、導入時の確認ポイント、そして最新の人気サービスまで、CRM導入に必要な情報をわかりやすく解説します。
CRMとは
「CRM」とは「Customer Relationship Management」の略で、直訳すると「顧客関係性マネジメント」となります。企業が顧客との関係を管理・改善するためのシステムやアプローチを指します。現代のビジネス環境では、顧客データを活用した戦略的な経営が求められており、CRMはその中核を担う存在として位置づけられています。
CRMシステムとは、顧客情報の一元管理、営業活動の効率化、マーケティング施策の最適化など、顧客接点における業務を支援する重要なツールであり、具体的な機能としては顧客情報管理、営業支援(SFA)、マーケティング自動化、カスタマーサポート、分析・レポート機能などがあります。
顧客情報を一元的に管理し、活用することで顧客満足度の向上、売上の増加、業務効率の改善といった具体的な成果につながります。
CRMの費用相場
CRMシステムの費用は、導入形態、機能、利用人数、カスタマイズの程度などによって大きく異なります。
一般的に、クラウド型は初期費用を抑えられますが月額費用が発生します。オンプレミス型は初期投資が大きい一方で長期的なランニングコストを抑えられる傾向があります。企業規模や業務要件に応じて、最適な導入形態を選択することが重要です。
CRMタイプ | 初期費用相場 | 月額費用 | その他費用 |
---|---|---|---|
クラウド型 | 無料~10万円程度 | 1,000円〜数万円/1ユーザーあたり | オプション費用 |
オンプレミス型 | 50万円~200万円程度 | 基本、買取となるので不要 | 保守費用、ライセンス費など |
CRMの費用相場(クラウド型)
クラウド型のCRMシステムはSaaSと呼ばれるインターネットを経由して利用する形式で提供されています。そのため、外出先でもインターネット環境さえあればPCやスマートフォンを使ってアクセスできるというメリットがあります。
初期設定の手間が少なく、すぐ使い始めることができます。料金は初期費用は無料としているところが多く、月額費用をサブスクリプション型で設定しているところがほとんどです。
月額費用はユーザーあたりの金額となっており、1,000円程度から数万円とサービスによってまちまちです。
その他、オプション費用がかかることもありますが、基本的には月額費用のみで導入と運用が可能なので、初期コストを抑えたい場合や、試しに使ってみたいという場合はクラウド型が向いています。
CRMの費用相場(オンプレミス型)
オンプレミス型のCRMシステムは自社でサーバーを用意して運用する買い切り型のシステムです。そのため、最初の導入費用がどうしてもかかってしまいます。
オンプレミス型CRMの導入費用は、初期投資として50万円から200万円程度かかることが多く、大規模な導入ではさらにコストがかかる可能性もあります。
導入費用にはソフトウェアのライセンス費用やサーバー機器にかかる費用、システム構築費用などが含まれています。
また、年間保守費用が毎年発生したり、自社での管理に関するコストがかかることも。
一見高く見えますが、ユーザー数が多い場合や、長期で運用することを考えるとオンプレミス型の方がコストパフォーマンスに優れるケースも少なくありません。
企業の規模が大きく、取り扱う顧客情報を強固なセキュリティで守りたい場合もオンプレミス型が向いています。
CRM導入 | 5つの確認ポイント
CRMシステムの導入には事前の準備と検討が欠かせません。自社に最適なCRMを選択し、導入後の活用も円滑に進めるための5つのポイントをまとめました。
①CRMの導入体制
CRM導入には適切な体制構築が不可欠です。CRMはマーケティングや営業に役立つと冒頭でお伝えしたとおり、異なる部門が同じCRMシステムを活用することで真価を発揮するものです。そのため、各部門への説明や調整がとても重要となります。
プロジェクトチームを作り、経営層や各部門への説明や調整、現場への周知、導入後のフォローなども対応できるようにしておきましょう。チームを作る際には業務要件を明確化する役割、システム選定を行う役割、導入スケジュールを管理する役割、社内教育を担当する役割など、明確な責任分担を設定しておくことも大切なポイントです。
②CRMの導入目的と解決したい課題
なぜCRMシステムを導入するのか?導入によって解決したい課題は何か?これらを明確にすることは、プロジェクトの方向性を定める上で最も重要なステップです。「何となく必要そうだから」「他社も使っているから」などぼんやりとした目的ではお金をかけて導入したシステムが全く使われず終わってしまう可能性も。
「顧客情報が別々のところに散らばっているのを解消したい」「営業活動を可視化したい」「マーケティングROIを向上させたい」など、課題と期待する成果を具体的に言語化してみるところから始めましょう。
これらに基づいて、必要な機能や導入範囲を決定していきますが、課題には必ず優先順位をつけるようにしましょう。すべての課題を一度に解決しようとするとシステムが複雑化し、現場での活用が進まない原因になります。
③必要な機能
機能要件を整理する際は、現在の業務フローを可視化し、CRM導入後の理想的な業務フローを描くことから始めます。各部門のユーザーにヒアリングを実施し、日常業務で必要とする機能をリストアップします。
解決すべき課題と照らし合わせて、CRMに求める機能を洗い出します。基本的な顧客管理機能に加えて、営業支援機能、マーケティング自動化機能、カスタマーサポート機能、分析・レポート機能など、業務に必要な機能を特定します。
過剰な機能は操作の複雑化とコスト増加を招くため、本当に必要な機能に絞り込むことが重要です。
④予算
CRM導入に必要な費用は初期費用だけでなく、運用費用、保守費用、追加カスタマイズ費用などさまざまなものがありますので、予算と比べて総合的に検討する必要があります。
クラウド型の場合は月額費用だけでなく利用期間も考え、オンプレミス型の場合は初期投資に年間保守費用を加えて概算を算出します。また、導入支援やトレーニング費用、データ移行費用なども予算に含める必要があります。
予算設定においては、CRM導入による期待効果とのバランスを考慮すべきでしょう。売上向上率、業務効率化による工数削減、顧客満足度向上による解約率低下など、定量的な効果を試算し、ROI(投資対効果)を検証します。また、CRMを検討する際にも人件費や調査費用などのコストがかかっていることを忘れてはいけません。
どうしても予算をオーバーしてしまいそうなら、段階的な導入によって初期投資を抑えることや、補助金・助成金の活用も検討してみるとよいでしょう。
⑤現場の使い勝手
CRMに限ったことではなくどんなに高機能なシステムでも、現場で使われなければ意味がありません。ユーザーインターフェースの使いやすさ、入力項目の適切さ、レスポンスの速さなど、日常業務で使用する際の操作性を重視して選定しましょう。
無料トライアルや製品デモがあれば積極的に活用し、実際のユーザーが操作感を確認できる機会を設けることが重要です。また、メールシステムや会計システムなど、既存システムとの連携性も確認すべきポイントの一つです。
【2025年最新】人気CRMサービス3選
CRMサービスにはさまざまなものがありますが、本記事では人気のサービスを3つご紹介します。
Salesforce
引用:https://www.salesforce.com/jp/
Salesforceは世界最大手のCRMプラットフォームとして、包括的な機能と高い拡張性を提供しています。多くの企業で導入されており、一度は使ったことがあるユーザーも多いため、CRMシステムの導入を考える時にまず候補にあがる企業でありサービスではないでしょうか。
業務領域ごとに特化した製品ラインナップを展開し、企業の成長に合わせて機能を追加できる柔軟性が特徴です。
中小企業向けオールインワンCRM「Starter Suite」は1ユーザーあたり月額3,000円、上位プランの「Pro Suite」は1ユーザーあたり月額12,000円となっており、無料トライアルも用意されています。
Salesforceについては下記の記事にも詳細がありますのでご一読ください。ベトナムでのSalesforceを使用したオフショア開発事例についても書かれています。
https://www.offshore-kaihatsu.com/contents/vietnam/sy-partners/salesforce
HubSpot
引用:https://www.hubspot.jp/
HubSpotは、インバウンドマーケティングに強みを持つCRMプラットフォームです。無料版から利用できる点が大きな特徴で、スタートアップや中小企業でも導入しやすい料金設定になっています。世界135か国以上で25万8,000社以上がHubSpotを活用しています。
営業支援、マーケティング、カスタマーサービスの各機能が統合されており、顧客のライフサイクル全体を一つのプラットフォームで管理できます。
2名までのユーザーであれば完全無料で活用が可能。シンプルなマーケティング自動化プランであれば有料プランは月額1,080円からとなっています。
kintone(キントーン)
引用:https://kintone.cybozu.co.jp/
サイボウズが提供する「ノーコードで業務アプリを作る」というテレビCMなどでもおなじみのkintone(キントーン)は、それ自体はCRMサービスではないものの、機能がCRM向きであるとして、CRMサービスとしても活用されているケースが少なくないようです。
顧客管理の一元化や案件管理、問い合わせ管理などが可能であり、100種類以上の無料サンプルアプリをカスタマイズすることでアレンジしたCRMシステムを作ることができます。
kintoneの費用はライトコースであれば1ユーザーあたり月額1,000円で、1ユーザーあたり月額1,800円のスタンダードコースなら30日間の無料お試し期間も用意されています。
まとめ
CRMシステムの導入は顧客関係の強化と業務効率化を実現する重要な投資です。導入形態により費用は大きく異なります。成功する導入のためには、明確な目的設定、適切な体制構築、必要機能の絞り込み、予算の総合的検討、そして現場の使い勝手への配慮が欠かせません。
さまざまなサービスがありますが、自社の規模、業務要件、予算に応じて最適なCRMを選択し、段階的な導入アプローチを採用することで着実な成果を上げることができるでしょう。CRM導入は単なるシステム導入ではなく、顧客中心の経営への変革です。
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