最終更新日:2024/12/25

スクラム開発とは

スクラム開発とは、ソフトウェア開発やプロジェクト管理で用いられるアジャイル手法の一つです。

小さなチームが協力し、一定期間(スプリント)ごとに成果を出すことを目指します。
スプリントの計画 → 進捗確認 → 振り返りを繰り返すことで、柔軟に変化に対応しながら価値を提供します。透明性、検査、適応の3つの原則に基づき、効率的なチームワークと継続的な改善を重視します。迅速な市場投入や品質向上に適した方法論として、多くの分野で採用されています。

スクラム開発と他の開発手法との比較

スクラム開発と他の開発手法の比較をそれぞれご紹介します。

ウォーターフォール開発

項目 スクラム開発 ウォーターフォール開発
進行方法 短期間のスプリントで反復的に進行 フェーズごとに順番に進行(要件→設計→開発→テスト)
変更への対応 柔軟に対応可能
(スプリントごとに見直し)
変更に弱い
(途中変更はコストが高い)
成果物のリリース スプリントごとに小さな成果物をリリース可能 完成後に一括でリリース
チームの関与 チーム全員が高い主体性を持つ 各フェーズで担当者が分かれることが多い
適用例 要件が不確実で変化が多いプロジェクト 要件が明確で固定的なプロジェクト

ウォーターフォール開発とは|メリット・デメリット&アジャイルとの比較

カンバン開発

項目 スクラム開発 カンバン開発
進行方法 スプリントという期間で区切り、反復的に進行 タスクを「To Do」「Doing」「Done」で流動的に管理
計画の詳細さ スプリント計画で詳細に決定 必要に応じてタスクを追加・更新
タスクの優先順位 スプリント開始時に設定 常に更新可能
(柔軟性が高い)
使用場面 チームでの協調や明確な目標が必要な場合 作業フローの最適化が重要な場合
適用例 ソフトウェア開発など複雑で協調が必要なプロジェクト IT運用や製造などのタスク管理

XP(エクストリーム・プログラミング)

項目 スクラム開発 XP(エクストリーム・プログラミング)
目的 チーム全体のプロセス改善に重点を置く 開発プロセスの技術的なプラクティスを重視
進行方法 スプリントで計画・実行・振り返りを繰り返す テスト駆動開発(TDD)、ペアプログラミングなどの具体的な技術に基づく
スコープの範囲 プロダクト全体の進捗を管理 コード品質や技術的な実践の向上に特化
使用場面 大規模または複数チームが関わるプロジェクト 小規模で高い技術力が必要なプロジェクト
適用例 プロダクト開発全般 高品質が求められるソフトウェア開発

スクラム開発やウォーターフォール開発、カンバン開発、XP(エクストリーム・プログラミング)など様々な開発手法がありますが、オフショア開発なら企業に合った手法で開発が可能です。

オフショア開発.comは6,000件を超える相談実績があります。

気になる方はぜひお気軽にお問い合わせください。

スクラム開発のメリット

スクラム開発のメリットは、柔軟性・チームの生産性向上・リスク管理にあります。

1.柔軟性が高い

スクラム開発はスプリントごとに短期間で成果物を提供するため、顧客や市場の変化に迅速に対応可能です。 また、定期的な振り返りや改善プロセスにより、品質向上と効率化が期待できます。

2.チームの生産性が向上する

スクラム開発は、役割を明確化するため個々のメンバーが責任を持ち、主体的に動ける環境を作り出します。 その結果、チームワークが強化されメンバーのモチベーションも向上します。

3.リスク管理ができる

スクラム開発では、リスク管理もスプリント単位で行うため大規模なトラブルの発生を未然に防ぎやすい点もメリットです。 迅速かつ柔軟なプロジェクト遂行を求める現代の開発に適した手法です。

スクラム開発のデメリット

スクラム開発のデメリットは、導入と定着の難しさ・スコープ管理の難しさ・適用範囲が限定的にあることです。

1. 導入と定着が難しい

スクラム開発はチームの自己管理能力や高いコミュニケーションスキルが求められます。特に従来のウォーターフォール型開発から移行する場合、役割やプロセスの理解に時間がかかり、混乱が生じることがあります。

2.スコープの管理が難しい

柔軟性が高い反面、プロジェクトのスコープが頻繁に変更される場合、チームが目標を見失いがちです。また、スプリントごとに優先順位を見直すため、長期的な計画が曖昧になることもあります。

3.適用範囲が限定的

スクラムは特に小規模かつチーム間の連携が密なプロジェクトに向いています。大規模プロジェクトやチームが地理的に分散している場合、コミュニケーションや進捗管理が困難になることがあります。

スクラム開発が向いているプロジェクト

スクラム開発が向いているのは、イノベーションやスピードが求められるプロジェクトです。

モバイルアプリの開発 ユーザーのニーズや市場トレンドが早く変わるため、頻繁に機能追加やデザイン変更が必要になります。短いスプリントでフィードバックを反映しながらリリースを繰り返す運用が適しています。
スタートアップの新規サービス開発 事業アイデアを素早く市場に投入し、ユーザーの反応をもとにサービスを改善していく場合、スクラムの柔軟性と短期間で成果を出す特性がマッチします。
WebサイトやECサイトの構築・運用 初期構築後も機能の改善やUIの最適化が求められる場合、スクラムで段階的にリリースを進めながら、顧客のニーズやSEOの要件に対応できます。
ゲーム開発 ゲームデザインやシステムが複雑で、プロトタイプを試しながら完成度を高める必要があるため、スプリント単位で進めるスクラムが効果的です。
AI・機械学習プロジェクト データの準備、モデルの構築、テスト、改善などがイテレーションを繰り返すプロセスであるため、スクラムのアプローチが適しています。

これらのプロジェクトは、顧客や市場の変化に適応しやすい開発体制を求めるケースが多く、スクラムが特に効果を発揮します。

スクラム開発のよくある質問

最後にスクラム開発で、よくある質問と回答をご紹介します。

Q1.スクラム開発はどんなプロジェクトに向いていますか?

スクラム開発は、要件が変化しやすいプロジェクトや不確実性の高い環境に向いています。例えば、新規サービス開発、アプリケーション開発、ゲーム開発などの分野で効果を発揮します。短期間で成果物を出しながら柔軟に対応できるため、顧客のフィードバックを活かした改善が必要なプロジェクトに最適です。

Q2.スプリント期間はどのくらいが理想ですか?

スプリント期間は通常1~4週間が適切とされています。期間が短すぎると計画が細かくなりすぎて非効率になり、長すぎると柔軟性が失われます。多くのチームでは2週間がバランスが良く、頻繁なフィードバックと計画の調整が可能になるため、一般的に採用されています。

Q3.スクラムとアジャイルの違いは何ですか?

アジャイルはソフトウェア開発の基本理念や価値観を示す枠組みであり、その中にスクラムやXP(エクストリーム・プログラミング)などの具体的な手法があります。スクラムはアジャイルの原則を実践するためのフレームワークの1つであり、スプリントや役割分担などの具体的な仕組みを持っています。

Q4.スクラム開発ではリーダーは必要ですか?

スクラムには従来型の「リーダー」は存在しません。ただし、スクラムマスターという役割がチームを支援し、円滑にプロセスを進める役割を果たします。また、プロダクトオーナーがビジョンや優先順位を示す責任を持ち、チームが自己管理で進行します。

Q5.スクラム開発を始めるにはどうすれば良いですか?

以下の手順で始めるのがおすすめです。

  1. チームメンバーを選定し、役割(スクラムマスター、プロダクトオーナー、開発チーム)を明確にする。
  2. プロダクトバックログを作成し、優先順位を付ける。
  3. スプリント期間を決め、スプリント計画を実施する。
  4. 必要なツール(Jira、Trelloなど)を導入し、タスク管理を可視化する。
  5. スプリントレビューとレトロスペクティブを繰り返し、改善を重ねる。

スクラムを導入する際は、小規模なプロジェクトで試験的に実施し、学びを得ながら拡大するのが効果的です。

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