最終更新日:2024/12/13
INDEX
かつてシステム開発といえばウォーターフォール開発が主流でした。近年は短期間でのリリースが求められることが多く、アジャイル開発が主流となりつつありますが、アジャイル開発にも得手不得手があるため、一つの開発方法にこだわるのは合理的とはいえません。
近年は時代遅れとも言われることも多いウォーターフォール開発ですが、マネジメントが比較的容易で品質の水準を保ちやすいといったメリットもあります。
このテキストではウォーターフォール開発にスポットを当てて解説していきます。ウォーターフォール開発とは何か、どういった工程があるのかといった基礎知識からメリットとデメリット、アジャイル開発など他の開発方法との違いについても詳しく解説します。
ウォーターフォール開発とは?
ウォーターフォール開発は、システム開発で用いられる直線的な手法で、各工程を順序立てて進める特徴があります。 要件定義から基本設計、詳細設計、実装、テスト、運用・保守といった段階を明確に区切り、一つの工程が完了してから次の工程に進みます。この手法は進捗管理がしやすく、大規模プロジェクトや仕様が明確な場合に適していますが、途中での仕様変更に対応しにくい点がデメリットとされています。正確な要件定義と計画が成功の鍵となります。

ウォーターフォール開発の工程
ウォーターフォール開発はあらかじめ決められた工程を順番に進めていく手法です。
では、ウォーターフォール開発においてはどのような工程で開発が進められるのでしょうか。この項ではウォーターフォール開発の工程について解説していきます。
ウォーターフォール開発の工程は大きく分けて次の6つです。
要件定義
要件定義は、クライアントやステークホルダーと協力してシステムの目的や必要な機能を明確化する工程です。収集した要件を文書化し、要件仕様書としてまとめます。この工程で定義された内容がその後の開発全体の指針となるため、正確さが求められます。
基本設計
基本設計は、要件定義をもとにシステム全体の構成を決定する工程です。主に外部設計が行われ、ユーザーが利用するインターフェースやデータの流れ、システムの全体像を設計します。ここで作成された設計書は、詳細設計の基盤となります。
詳細設計
詳細設計は、基本設計をもとにシステムの具体的な仕組みを決定する工程です。プログラムの仕様やデータベース構造、クラスや関数の設計が行われます。モジュールごとに設計を行うため、この工程の完成度が実装の品質に直結します。
実装
実装は、詳細設計で決定された仕様に基づいてコードを記述する工程です。プログラムを作成する際には、コーディング規約や品質基準を遵守し、効率的で保守性の高いコードを目指します。この工程では開発者のスキルが成果に直結します。
テスト
テストは、実装されたシステムが要件を満たしているか検証する工程です。単体テストや結合テストを経て、システム全体の動作を確認するシステムテストを実施します。最終的に、クライアントによる受け入れテストを通じて品質を保証します。
ここで知っておきたいのが「V字モデル」です。V字モデルとは、ウォーターフォール開発において開発の工程と各テストをV字型に並べることで、どの開発工程にどのテストが対応しているのかをわかりやすくしたモデルのことです。

■単体テスト
単体テストとはシステムを作る部品に不備がないかを見つけるテストであり、プログラムを構成する単位ごとに検証を行います。
■結合テスト
結合テストは、単体テストでチェックした部品を組み合わせて動作確認を行うことです。部品に問題がなくても組み合わせることで不具合が生じることもあるため、さまざまな組み合わせやパターンを試すことが必要です。
■システムテスト
システムが仕様書のとおりにできているかをチェックするテスト工程がシステムテストです。実際に使われるのと同じ環境でさまざまなテストを行うことで、開発環境では出なかった不具合をあぶりだすことができます。
運用・保守
運用・保守は、完成したシステムを実環境で運用し、発生する問題に対応する工程です。バグ修正や機能の改善、新たな要件への対応が含まれます。この工程はシステムが利用される期間中続き、長期的な信頼性が求められます。
ウォーターフォール開発のメリット・デメリット
続いては、ウォーターフォール開発のメリットとデメリットについても比較しておきましょう。
ウォーターフォール開発のメリット
- 進捗管理が容易:各工程が明確に区切られており、進行状況を把握しやすい。
- 文書化しやすい:要件定義や設計が文書化されるため、チーム間やクライアントとの共通認識を形成しやすい。
- 計画性が高い:各工程を計画通り進めることで、完成時の予測が立てやすくなる。
- 品質が安定しやすい:工程ごとにレビューが行われるため、全体の品質を維持しやすい。
- 大規模プロジェクトに適している:全体像が明確で、段階的に開発を進めるため、複雑なプロジェクトに向いている。
ウォーターフォール開発のデメリット
- 柔軟性に欠ける:一度次の工程に進むと、前の工程に戻るのが難しく、仕様変更に対応しにくい。
- 初期段階の正確さが重要:要件定義や設計に誤りがあると、後工程で修正が困難でコストが増大する。
- 早期の成果物が見えにくい:全工程が完了するまで、クライアントが動くシステムを確認できない。
- テストの開始が遅い:実装後にテストを行うため、不具合の発見が遅れる可能性がある。
- ユーザーの関与が限定的:初期段階での要件定義以外でユーザーが関与する機会が少なく、実際のニーズに合わないシステムになるリスクがある。
ウォーターフォール開発とアジャイル開発の違い
アジャイル開発とは近年開発手法の主流となりつつある手法であり、「アジャイル(agile)」とは敏捷という意味の形容詞です。 正確にいうと、アジャイル開発とは迅速な開発を行うための開発手法群の総称であり、開発手法そのものの名称ではないそうです。
アジャイル開発は開発するシステムの機能を細分化し、それぞれの機能に対して短期間の開発期間を設けます。機能ごとに短期間での開発を繰り返し、それが完了するたびに機能追加されたシステムができあがっていく、というイメージです。
アジャイル開発については、こちらの記事も参考になるのでぜひご一読ください。
計画をしっかり立ててそのとおりに進めていくウォーターフォール開発とは真逆のコンセプトを持った開発手法であり、小規模な開発を、スピード感をもって進めていくには最適の手法として近年人気を集めています。
その他の開発手法
- スパイラルモデル:リスクを重視した反復型の開発手法で、開発を複数のサイクル(スパイラル)で進めます。各サイクルで要件分析、設計、実装、評価を行い、段階的にシステムを完成させます。
- V字モデル:ウォーターフォール開発に似ていますが、各開発工程に対応するテスト工程が対になる形で設計されています。
- プロトタイプモデル:初期段階で試作品(プロトタイプ)を作成し、ユーザーのフィードバックを基に改良を重ねる手法です。
- インクリメンタルモデル:システムを小さな部分(インクリメント)に分割し、順次開発・納品していく手法です。
- ラピッドアプリケーション開発:ロトタイプモデルを進化させた手法で、迅速な開発を重視します。小規模なチームが高いユーザー関与のもとで反復的に開発を進めます。
- リーン開発:製造業のリーン生産方式を取り入れた手法で、無駄を省き、効率を追求します。
- スクラム:アジャイル開発の一種ですが、スプリントと呼ばれる短い開発期間ごとに成果物を出すことを強調しています。
ウォーターフォール開発の向き・不向き
すべての開発に対して万能な開発手法は存在しません。プロジェクトごとに最適な開発手法を選定する必要があります。
ウォーターフォール開発に向いている開発と向いていない開発について知っておきましょう。
向いている開発 | ・要件が明確で変更が少ないプロジェクト ・大規模で複雑なプロジェクト ・厳格なスケジュール管理が必要な場合 ・安全性や品質が重視されるプロジェクト ・クライアントやチームが開発手順に慣れている場合 |
---|---|
向いていない開発 | ・仕様変更が頻繁に発生するプロジェクト ・クライアントの要件が不明確な場合 ・短納期のプロジェクト ・ユーザーのフィードバックが重要な場合 ・小規模で変化の多いプロジェクト |
大規模な開発案件はコストがかかります。
コスト削減をするならオフショア開発がおすすめです。
オフショア開発企業をお探しの方はこちらをご覧ください。
まとめ
ウォーターフォール開発には大規模な開発案件や、仕様が明確なプロジェクトが向いていますが、大規模開発には大量のリソースが必要であり、国内のIT人材は近年慢性的に不足しているため、人件費も高騰しています。そのため、オフショア開発を視野に入れる企業も急増しています。
また、仕様が明確なプロジェクトはオフショア開発でも品質担保がしやすいため、海外に任せるのが不安という企業でも比較的取り入れやすいようです。
オフショア開発.comでは、専任コンシェルジュへの無料相談サービスをご用意しております。 無料でさまざまなお悩みやご要望をお聞きし、最適な企業をご紹介するだけでなく、開発における最新の情報もご提供いたします。 例えばこのプロジェクトにはウォーターフォール開発とアジャイル開発、どちらが向いているのか知りたい、ウォーターフォール開発からアジャイル開発に移行支援してほしいといったご要望にもお応えできます。
オフショア開発に関する情報はもちろん、日本企業の急務であるDXのトレンドに関する多くの情報についてもご提供できますので、ぜひお気軽にお問合せください。