最終更新日:2026/08/17
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オフショア開発.comでは、発注企業へのアンケート調査をもとに「オフショア開発白書」を毎年まとめています。2025年版で見えてきたのは、単なる「コスト削減の外注先」という枠には収まらない、オフショア開発の新しい立ち位置です。
中でも際立っているのが、検討理由の1位に「開発リソースの確保」が挙がったという結果です。本記事では、このデータを軸に、なぜ今このキーワードが重要になっているのか、そしてどんな戦略が求められているのかを紐解いていきます。
なぜ今、オフショア開発の「目的」が変わっているのか
コスト削減という前提が崩れた背景
ベトナムのプログラマー単価は、2025年時点で月40.1万円です。前年比+1.8%とほぼ横ばいで、依然としてコストを抑えやすい水準にあります。
中国は月58.3万円で、前年比+31.3%の伸びとなりました。背景には、AIやブロックチェーンといった高度領域での需要増や、現地エンジニアの待遇改善があります。シニアエンジニアやブリッジSE、PMといった上流工程の単価も軒並み二桁伸びており、技術力の高まりにより単価が上昇しています。
そのため、かつての「国内の半額以下」という感覚で予算を組むと、実態とのズレが生じやすい状況です。
それでも活用企業が増え続ける理由
コストメリットが薄れているにもかかわらず、「今後オフショアを拡大していく」と回答した企業は65%にのぼります。背景にあるのは、国内エンジニア不足の深刻化です。
SIerやWeb系企業を中心に、クラウドやAI領域での開発需要が急増する一方、国内での採用は思うように進んでいません。オフショアは「安く作る手段」から「開発体制を維持する手段」へと役割が変わりつつあり、この視点で捉えないと導入判断を誤ってしまいます。
白書データで読む2025年の3つの変化
中小企業48%・大企業2%—相談企業の顔ぶれが逆転
2025年にオフショア開発に関するご相談をいただいた企業を従業員規模別に見ると、50名以下の中小企業が全体の48%を占め、前年の26%から大きく増えています。反対に、5001名以上の大企業は22%から2%へと急減しました。大企業はすでに自社拠点の設立などで体制を整えたところが多く、新規相談が一段落した形です。
大型案件の消失と中規模化—予算設計の現実
前年にボリュームゾーンを形成していた「1億円以上」の案件は、2025年には姿を消しました。代わって最多となったのは、1000〜2000万円の中規模案件(17%)です。
あわせて注目したいのが、「発注を見送った」という回答の割合です。21%から36%へと大きく増えています。円安と景気の先行き不透明感が重なり、プロジェクト化まで至らないケースが増えているようです。予算規模を計画する段階から、現実的な数字感を持っておくことが重要になってきました。
10年以上継続が44%—すでに「長期前提」の選択肢へ
オフショア開発の継続期間を見ると、「10年以上」という回答が44%で最多でした。前年の36%からさらに増えています。新規導入よりも継続活用が主流になりつつあり、一度導入した企業がそのまま開発体制の中核に据えているケースが目立ちます。
つまり、オフショアを「試しに外注してみる」という位置づけの段階は、すでに終わっているといえそうです。最初から中長期の運用を前提とした体制設計が求められています。
判断を誤りやすい3つのポイント
コストメリットが出る案件・出ない案件の違い
白書によると、2025年のコスト削減率は「31〜40%削減」が最多で31%を占めました。前年の平均19.2%と比べると、大きな改善です。ただし、これはある程度の規模と継続性がある案件に限った話といえます。
スモール案件や初期フェーズでは、コミュニケーションコストや立ち上げ準備にかかる工数が、削減効果を目減りさせてしまうケースが少なくありません。短期・小規模の案件でコストメリットだけを期待すると、思ったほどの効果を実感できないこともあるため、注意しておきたいところです。
ベトナム一強から多様化へ—国選びの新しい軸
ベトナムが一強である構図は、今も変わっていません。ただ、中身を見ると話はそう単純でもなくなってきました。2位には中国、3位にはインドが続いており、単純な「安さ」だけでなく、技術力や市場の成熟度で選ばれる国が増えてきています。
背景にあるのは、発注企業側の目線の変化です。かつては「とにかく安いベトナム」一抜だった選び方から、案件の性質に応じて国を使い分ける発想へとシフトしています。中国は単価が上がり、以前ほど気軽には選びにくくなりました。それでもAIや先端技術の領域では、まだ頸れる存在であることに変わりありません。一方のインドは単価が下がった分、コスト面での魅力が増しているようです。バングラデシュやフィリピン、さらにはネパール・スリランカといった国々も、新たな選択肢として名前が挙がるようになりました。
これまでのイメージや慣習だけで発注先を決めてしまうと、案件に最適な選択肢を見逃してしまうかもしれません。国ごとの強み・弱みを踏まえて比較検討することが、これまで以上に成果を左右する時代になってきました。
契約形態を間違えると何が起きるか
2025年の契約形態は、ラボ型45%・請負型32%・SES型20%という構成でした。中でもSES型は前年の14%から大きく伸びています。契約形態の選び方は、プロジェクトの性質と自社のマネジメント力に合わせて考える必要があります。
要件が固まっていない、あるいは継続的な開発が発生するならラボ型。要件が明確で短期集中型ならば請負型。特定技術を補いたいだけならSES型。この判断を誤ると、想定以上にコストがかかったり、柔軟な対応が効かなくなったりすることがあります。
導入前に知っておくべきこと
課題1位は依然「コミュニケーション」
発注企業がオフショア開発企業に感じた課題として、2025年も「コミュニケーション力」が圧倒的な1位でした。選定時に最も重視されたポイントも「日本語のレベル」が首位となっており、技術力以上に言語・意思疎通の質がプロジェクトの成否を左右しているようです。
ブリッジSEの能力がプロジェクトの成否に直結する、という認識も強まっています。技術スキルだけでなく、言語力・文化理解・マネジメント力を兼ね備えた人材をどう確保するかが、実務上もっとも大きな課題といえそうです。
スモールスタートが現実的になった今の環境
以前は「最低3名・半年以上」が一般的だったラボ契約の条件も、少しずつ緩和されてきました。1名・1ヶ月から始められるプランを提供するベンダーも増えています。初めてオフショアを検討する企業にとって、試験的に導入するハードルは確実に下がっているといえるでしょう。
ただし、スモールスタートはあくまで入口です。コストメリットを本格的に享受するには、ある程度の規模と継続性が欠かせません。最初から「どこまで拡張していくか」を描いたうえで始める企業ほど、結果的に長期活用へとつながっているようです。
参照:オフショア開発白書2025年版(発行:オフショア開発.com)
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