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ブリッジエンジニアに聞く!オフショア開発現場のリアルとメンバーの思い |
公開日:2020/10/21 最終更新日:2023/12/25
ブリッジエンジニアに聞く!オフショア開発現場のリアルとメンバーの思い
カンボジアのオフショア開発企業『A2A Digital』でブリッジエンジニア(ブリッジSE)を務める間島さまとマネージャーの石原さまのおふたりにお話を伺いました。
ブリッジエンジニア(ブリッジSE)とは、ITのスキルだけでなく言語や文化など両国間(例えばベトナムと日本)のビジネス習慣を熟知し、間に立って円滑に業務を進められるよう指示できるSEのことです。
オフショア開発を進めるうえでの最重要ポジションであるブリッジエンジニアが、「どのようにプロジェクトを進めているのか」、「オフショア開発にどのような思いを持っているのか」、本記事をとおして是非知っていただければと思います。
A2A Digital
ブリッジエンジニア 間島 様 (写真:後列中央)
大学卒業後、中堅SIerにてシステムエンジニアのキャリアをスタート。総合商社に常駐する中で、国外のユーザーやエンジニアとのやり取りを経験し、グローバルなキャリアを意識し始める。転職サービスを通じてA2Adigitalと出会い、一念発起してカンボジアに移住。海外生活はカンボジアがはじめて。
A2A Digital
マネージャー 石原 様 (写真:後列中央左)
大学卒業後、フリーター期間を経て、大手人材サービス企業に入社。営業・営業企画・事業企画など担当。ベトナムのオフショアをクライアントの立場で長く活用していた。海外生活経験はなく、英語も話せなかったが、6歳の息子を連れて家族3人でカンボジアに移住。
システム開発をより手触りのあるものに…
‐まずは御社について教えてください。
【間島】
A2A Digitalは、カンボジアトップのIT技術大学・キリロム工科大学の卒業生によって構成されるデジタルテクノロジー企業です。
いまはオフショア開発として、Webアプリケーションやモバイルアプリ、Webシステムの開発のほか、AIに関わるデータアノテーションやLP(ランディングページ)、Webページの受託開発などを行っています。
デザインに関しては、日本の案件だと結構こだわりがある方が多いので、コーディングや設定の部分など、デザイン以降を対応することが多いです。
‐ブリッジエンジニアとして取り組まれている業務内容についても教えてもらえますか?
【間島】
ブリッジエンジニアとして、カンボジアの開発メンバーと日本の発注者様との間にたって、プロジェクトが滞りなく進むようマネジメントしています。
発注者様からのご要望に対し、提供できるサービスを考えて、それを提案するための打ち合わせも主導してますね。
場合によっては、開発チームのエンジニアにも打ち合わせに入ってもらって、その場で質問してもらう。また可能なかぎり、デモ画面を共有して、今できていて、今動くところを見ていただくようにしています。
【石原】
口を挟みますけど、ぼくが間島さんの横で見ていて思うのは、けっこう彼女はメンバーの顔をお客さんに見せるんですよね。
僕はそれをとても良いなと思っていて、僕自身、以前は発注者側でオフショア開発をやったことあるんですけど…やっぱ英語喋れないじゃないですか、多くの日本人って(笑)僕もそうなんです。それに必要以上にビビっているところって、やっぱりあって。
でも結局は人間同士なんですよね。
なので、やっぱり顔を見れば「彼は自信あるんだな」とか「ちょっと困ってそうだな」とか分かるし、顔を見て話すことで伝わるものって結構あるんですよ。
‐どのようにプロジェクトを進めていますか?
【間島】
会社の設立が2020年2月と新しいこともあり、今はお客様から要望いただいてから、私達が提供できるサービスを考えて提案・対応していることが多いです。
開発するシステムの要件が定まっていなくて、「こういったビジネスプランでやりたいんですが…」とご相談いただくこともあります。
そういった場合は、わたしの方で似たような既存アプリ、システムをいくつかピックして紹介して、近いものをベースにお客様と擦り合わせています。
そこから、足りないものとか「こういうふうにしたいんだよね」といったものを洗い出して、イメージに近づけていきます。
システム開発は《何もないアイデア》のところから、プログラムという実際に触れることができないものを作り出すものです。
日本国内で開発する場合でも、品質とか、できたモノを実際に触って確かめることは難しいです。
そこがオフショア開発となると、さらに距離も離れるので、よりそういった部分を手触りのあるもの……お互いよく見えるものになるように努めてます。
英語が喋れないってだけで活躍する場が日本の中だけにとどまっているのがもったいない
‐どうしてブリッジSEになったのですか? ましてやカンボジアで?
【間島】
私自身まさかカンボジアで働くことになるとは思ってなかったんですけれど…(笑)
最初は地元の新潟で、ニアショア開発として、東京のプロジェクト開発をやっていました。
その後、東京の総合商社に常駐することになって、データ分析などを担当していたのですが、その時に世界中のデータを分析するプロジェクトにジョインしたことで、シンガポールやアメリア、ヨーロッパなどのエンジニアと一緒に仕事をすることになりました。
その時に、海外のエンジニアと一緒にやっていくのって楽しいな、と思ったことが大きいですね。
あとは、そのプロジェクトに参加することで、日本のエンジニアの質の高さを知り、日本には世界で活躍できるエンジニアがたくさんいることに気づきましたね。
それにともなって、ただ英語が喋れないってだけで、活躍する場が日本の中だけにとどまっているのがもったいないというふうに思って。
もっと世界に目を向けても通用するレベルの日本人エンジニアがたくさんいるって思えたのは、すごく海外に出ていく自信にもなりました。
そして、カンボジアで働くことになった経緯は、もともとはカンボジアにある《キリロム工科大学》が先端的な取り組みに積極的ということで、興味を持ったのがきっかけです。決め手となったのは、大学と連携して新しくオフショア開発センターができるということで、満を持してカンボジアに来ました。
‐これからの取り組みとか、今後の展望とかについても教えてもらえますか?
【間島】
カンボジアの人は繋がりを大切にしていて、これは世界中で通用するところだな、って思ってます。
いろいろなコミュニティが活発に行われていると思うんですけど、そういうところで、発信したりとかして、より盛り上げていきたいと思ってます。
カンボジア自体、いまぽつぽつと大学や会社が立ち上がってるところなんですけど、全体としては技術コミュニティっていうのが日本と比べたら全然少ないんです。
そういう繋がりが、仕事を生み出して、ビジネスを盛り上げていくと思いますので、カンボジア全体のITコミュニティをもっと活性化していきたいと思っています。
あとこれはまだできるかわからないんですけれども、日本の基本情報技術者とか、ITの国家資格があるのですが、カンボジアはまだそれに参加していないので、いま私は、カンボジアの各機関と協力して、日本の高品質の国家試験をカンボジアに導入できないか、進めている真っ最中です。
大学と連携することによる開発体制の特徴
‐A2A Digitalの特徴を教えてもらえますか?
【間島】
A2A Digitalは、カンボジアのITトップ校《キリロム工科大学》と連携しているので、このリソースを活用してプロジェクトを進められることが特徴的だと思います。
キリロム工科大学のリソースを大量に導入してプロジェクトを行うほかにも、例えば研究開発としてまずはお試しでやってみる、といった柔軟性がありますね。
あと、オフィス内は英語でコミュニケーションすることになってるので、メンバーはみんな英語ができます。
ですので、新しく出た英語圏で開発されている製品が、まだ日本語になっていない状態でも、自分たちで情報を集めて進めることができていて、新しいものをいち早く取り入れられていますね。
今後思っていることでいえば、他の英語圏、バングラデシュやインドで進めていたプロジェクトに、わたしたちが参画するとか…そういう国をまたいだ開発とか、プロジェクトの移行みたいなものも英語だからこそできるのかな、と思ってるので、これから実現していきたいです。
‐カンボジアの開発メンバーにはどのような特徴があると思いますか?
【間島】
A2A Digitalのメンバーは、結構特殊なバックグラウンドを持っていて、みんなキリロム工科大学の卒業生です。
キリロム工科大学在籍中は、寮生活で4年間一緒に暮らしているので、その良さが今の現場、オフィスの中でも垣間見えてるなぁと思ってます。
精神的なちょっとした変化でも、周りの同僚が気づいてサポートをしたり、声をかけたりできてるのは、それまで4年間の寮生活で家族の様に過ごしてきたからしてきたからだと思います。なによりも、みんなで協力し合って何かプロジェクトを達成する連帯感はすごいなと思いますね。
基本的にはオフショア開発と国内開発は変わらない
‐オフショア開発と国内開発の違いはなんでしょうか?
【間島】
基本的なところでいうと、オフショア開発と国内開発は大きく変わらないかと思います。
いま日本の職場もすごく多様性が高まっていると思います。
時短ママさんの活躍がすごく目立つようになりましたし、転職で違うカルチャーの人が職場に入ることも当たり前の光景です。
その多様性のバリエーションの一つに、外国人と一緒に働くっていうこともあるのかな、と思います。
特にウィズコロナ時代では、リモート勤務も当たり前になって物理的な距離も気にならなくなりましたしね。
東南アジアなら時間差も1~2時間です。オフショア開発が特別なことではないと思うんです。
当たり前を疑うこと、制度の違いには注意
‐それではオフショア開発に大きな障害やハードルといったものはないのでしょうか?
【間島】
オフショア開発でプロジェクトを進めるにあたって、大きな障害っていうものは今のところ感じていません。
ただ、やはり言語や文化、バックグラウンドの違いはありますので、気に掛けることは大切です。
細かいところで言うと、日本人が当たり前に思っているビジネスのやり方とか、いま普通にあって皆が知ってるようなシステムが、意外とカンボジアにはなかったりします。
「例えばあんな感じで…」みたいに、当たり前に話しているものが、意外とエンジニアは想像つかなかった、ということがたまにあります。
あとは、国の制度とか祝日が違ったりするので、スケジュールを考えるうえで注意しないといけません。
例えば、カンボジアでいうと、お正月は4月に1週間程度、お盆は9月に1週間程のお休みと、日本とは時期が異なっています。
一方で土曜日は平日として働いている人も多いので、スケジュールを立てるときに考慮する必要があります。
ブリッジエンジニアとしての思い|オフショア開発の面白さ
‐ブリッジエンジニア(ブリッジSE)という仕事のおもしろさは?
【間島】
私自身も、カンボジアでブリッジエンジニアとして働きはじめた頃とか、最初の1~2ヶ月ぐらいはすごく日本の感覚でやってきたので、ストレスを感じることが多くて…多分オフショアを始めようって思ってる方は私が来たばっかりのころと同じような気持ちになるんじゃないかなぁと思います。
カンボジアメンバーの言葉ひとつひとつが、日本人では気づかないようなことだったりとか、私が当たり前と思うことに「なんでそう言うの?」みたいな単純な疑問とかを投げかけてきたりとか…(笑)
「私は今までこういうやり方で、こういう仕事をやってきて、だから次はこうしたい」とかを、丁寧に説明して納得してもらうこともありました。
そういうことを言い合って、コミュニケーションを重ねて、お互いの理解を深めていきましたね。
やっぱり言語の違いとか文化の違いとか背景の違いとかで、私達が当たり前に知っているものも意外と知らなかったりして、よく「え?」って思うことがあります。
ただ、そういうところは新たな発見であり、楽しさであり…当たり前に進められると思っていたら、それはただ私達の当たり前あって、彼らにとっての当たり前ではなかったっていうところに気づくことができます。
同僚の声|A2A Digital マネージャー 石原 良太さま
‐ブリッジエンジニア・間島さんはどのような人ですか?
【石原】
僕が間島さんを素晴らしいなと思うポイントは、3つあります。
ひとつめ受容性です。
自分を疑って自分を変えることを恐れてないし、ちょっと楽しんでる。
じゃないと、こんなとこ(カンボジア)いないと思うんですけど(笑)
だから「そういう考え方もあるよね」って、すごく柔軟に思える人なんですね。
ブリッジSEってその名の通り架け橋になる人ですから、まずその柔軟な性格がとても向いてるなって思います。
ふたつめは、やり抜く力がすごく強いということです。
この姿勢が東南アジアはちょっと弱いと感じることがあります。
間島さんは、「この人しつこいなあ」とか「諦めないな」とかって姿勢を、カンボジアの若者に見せてるってところで、労働観の醸成という意味でもカンボジアに貢献しているな、と思っています。
最後のみっつめは、これは本当にリスペクトしてるんですけど、感情のブレが少なくていつもニコニコしてるところです。
これって本当に人に安心感を与えるんですよね。
笑顔ってやっぱり世界共通だなってすごく思うんですけど、安心させるんです、人を。
ですからここが間島さんの素晴らしいとこだし、この仕事向いてるなって思うし、カンボジアだけに限らず、この人はきっと何か、多様性を束ねてその価値を大きくする仕事をこれからもやっていくんだろうなって思ってます。
世界と仕事するっていう第一歩として、オフショア開発ほど良いものはない
‐最後に、オフショア開発を検討している方にメッセージをお願いします
【間島】
やはり、今後ずっと日本人だけで働くとか、自分と同じようなバックグランドの人とだけ仕事をやっていくっていうのは、将来的に考えると続けていくって難しいと思います。
わたしがカンボジアにきて、最初の1~2ヶ月間で気づいた違和感とかギャップっていうのは、逆に日本で新しい人と仕事をやるとか、自分の経歴とは違う人と仕事をするっていうときにも、繋がるような経験なんじゃないかなと思っています。
私が感じたカンボジアで感じた最初の違和感っていうのが、「自分が日本の当たり前しか知らなかったんだな」というところです。
例えば、当たり前にやっていたことが非効率だったりとか、理由もなくやっていたことだったり、何も疑問に思わなかったっていうことに、純粋な質問を問いかけられて、気づいて、逆に向こうの言い分のほうに、「あ、そういう考え方もあるな」っていうふうに思うような場面が多々ありました。
オフショア開発に取り組んでみれば、日本で常識だと思っていた概念が取っ払われて、本当にプログラミングとか、テクノロジーとか、仕事でやらなきゃいけないこと、というものが明確化していくことと思います。
【石原】
海外との仕事って思いすぎなくていいと思っています。
zoomやslackなどオンラインのコミュニケーションツールがここまで普及した、このコロナのタイミングだからこそ、世界の人と仕事を始めるチャンスだとすごく思います。
実際に、私達もzoomやslackを使って、英語があまりしゃべれないという方々と仕事をたくさんしています。カンボジア人は日本人好きが多いですし、すごく意図を汲み取ろうとしてくれます。日本人にとても優しいんです。オフショアに初めてチャレンジする方に、カンボジアは本当におすすめの国です。
【間島】
カンボジア人は、多くの国からのサポートが入っており、色々な人の英語を聞くことに慣れてますから、インド人の英語とか日本語訛りの英語でも理解できるし、理解しようとしてくれるんですよね。
何も言ってないのに、答えを言ってくれるときとかもありますし(笑)
【石原】
コスト削減という側面は当然あるんですよ。実際安いです。
ただその価値と同等かそれ以上に、海外の人たちと仕事をする第一歩として、オフショア開発ほど良いものはないと僕は本当に思ってます。ぜひトライしていただきたいです。
この記事を書いた人
キリロム工科大学 *A2A town (Cambodia) Co., Ltd
プノンペンに開発拠点を置くカンボジア・オフショア開発企業。
グループ会社がカンボジアトップのIT校・キリロム工科大学を運営し、若くて優秀なエンジニアを確保し、研究開発にも積極的に注力。
企業選定にお困りでしたら、オフショア開発. comの専門スタッフが無料相談を受け付けておりますので、お気軽にご利用ください。
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