オフショア開発は英語で行うべき?英語で進めるメリットとヒントを紹介!

公開日:2020/09/17 最終更新日:2023/12/25

オフショア開発は英語で行うべき?英語で進めるメリットとヒントを紹介!

 

オフショア開発を検討するとき、大きなポイントになってくるのがコミュニケーション言語をどうするか、ではないでしょうか?

 

国内開発でも、発注者とベンダーで密にコミュニケーションをとらないと、仕様違いなどの思わぬトラブルが発生してしまいます。

ましてやオフショア開発ではエンジニアが外国人となるので、日本語を完ぺきに理解できる人は少なく、コミュニケーションの難易度は高くなります。

 

しかし、日系オフショア開発企業を中心に日本語対応可能な企業が非常に多くなってきて、国内開発と同じ感覚でオフショア開発できるようになってきました。

 

そのうえで、「あえてオフショア開発を英語で行うメリットはあるのか?」そして、「英語でのコミュニケーションに不安を覚えるときはどうすればよいのか?」などをここであらためて解説します。

あわせて「不安を解消するための機械翻訳ツールの活用のポイント」と「日本人が注意しなければならない和製英語」についても紹介します。

 

ぜひ英語でのオフショア開発を選択肢の一つに加えていただければと思います。

INDEX

1.オフショア開発する上でのコミュニケーション言語

2.オフショア開発を英語で行うメリット

3.機械翻訳|英語のコミュニケーションに不安なときは…

4.注意が必要なIT関係の和製英語

5.英語での開発におけるフィリピンの優位性

1.オフショア開発する上でのコミュニケーション言語

オフショア開発を始める際、コミュニケーション言語をどの言語にするのか、というのは重要なポイントです。

 

結論から言えば、オフショア開発においてコミュニケーション言語を「英語」に選定することには、大きなメリットがあります。

 

国内開発を含めたシステム開発全般にいえることですが、発注者とベンダーとで密にコミュニケーションを行い、必要な機能要件を洗い出したり、仕様を決めていったりすることが開発の失敗を避けることにつながります。

つまり、納期の遅れや低品質な成果、仕様違いなどを避けるためにも、なるべくスムーズに意思疎通が図れるということを観点に、コミュニケーション言語やオフショア先の国を決定する必要があるのです。

 

たしかにオフショア開発業界では、いまや日系オフショア開発企業を中心に多くの企業が日本語対応可能となってます。

なかには、ブリッジSEが日本国内の拠点にいて、発注者と直接やりとりすることで、まるで国内ITベンダーに発注しているような感覚で開発を進められるオフショア開発企業もあるほどです。

 

SlackやZOOMなど様々なツールの登場もあり、コミュニケーション上の障害が取り払われ、多くの開発案件が成功につながる環境も整ってます。

 

このように昨今のオフショア開発においては、仮に「日本語しか話せない」、といった開発環境であっても、取り組むことができる身近なものとなっております。

 

しかし、コミュニケーション言語を英語とすることのメリットには多大なものがあります。

 

以下でメリットをいくつかご紹介するので、日本語と英語、どちらの言語を採用してオフショア開発を進めるのか、ご検討の材料としていただければと思います。

2.オフショア開発を英語で行うメリット

■品質の向上が期待できる開発案件がある

下記の参考記事でも解説しましたが、多言語対応webシステムなどの開発案件では、英語を基軸言語とすることで、リソース確保や品質向上、コスト削減といったメリットが生まれます。

 

また、IT用語は英語がベースとなっていることが多く、オフショア先のエンジニアとの相互理解も図りやすいです。各プロジェクトメンバーと直接やりとりができると、レスポンスも早く、それぞれのメンバーのスキル・実力の把握も簡単にできます。

円滑なコミュニケーションができるようになることから、開発現場からのエラーや違和感などの報告も上がりやすくなり、結果として品質が良くなったという当社の実績もあります。

 

参考:『Webの多言語対応なら基軸言語は迷わず英語で!英語で開発するメリットは?』

 

■優秀なエンジニアを採用できる

ベトナムやフィリピン、ミャンマーなどのオフショア開発が盛り上がっている東南アジア諸国では急速にIT技術が向上しており、日本に負けない優秀なエンジニアが揃ってきております。

しかし、非常に高い技術力を持っていても、日本語でスムーズにコミュニケーションがとれるエンジニアの数はそう多くはありません。

 

一方で、十分な英語運用力を持ち、技術力も申し分ないエンジニアであれば、その数は格段に大きくなります。

 

それぞれのオフショア国で、技術力が急速に向上しているといっても、各エンジニアでそのスキルはピンキリです。

日本語での対応に固執しなければ、発注したい開発案件にしっかりとマッチした優秀なエンジニアを広く採用にかけられますので、リソース確保の面でかなり優位になれるでしょう。

 

■開発コストの圧縮が期待できる

通常、オフショア開発をする場合、ブリッジSEや通訳をオフショア先との窓口にすることで、開発を進めていきます。

自身で開発チームに指示を出すなど、プロジェクトのマネジメントができるのであれば、ブリッジSEや通訳にかかる費用を削減することができるかもしれません。

 

さらに、間接的なコスト削減面について言及すると、コミュニケーションにかかる工数の削減も期待することができます。

例えば、打合せの場で、日本語を外国語に、外国語を日本語に、と発言を逐一通訳していると単純に倍の時間がかかってしまいます。(また通訳を通していて、もしそこまでの時間がかからないとすると、通訳の際に情報が抜け落ちている可能性が高いかもしれません….。)

 

英語で開発を進める場合は、このような工数の削減によりトータルの工数が少なくなる効果が期待できるでしょう。

 

■ブリッジSE依存となるリスクを解消できる

オフショア開発は通常、発注者とオフショア開発拠点を橋渡しするため、ブリッジSEを配置して、プロジェクトをスムーズに進めるようにしています。

そのため、優秀なブリッジSEが辞めてしまって、その後のプロジェクトがガタガタに崩れてしまう、という事態が起こるリスクがあります。

英語で開発を進めることで、ブリッジSEに依存する開発から脱却できるので、ブリッジSEの能力がプロジェクトの成否の命運を握る、という極めてリスクが高い状態を解消することができます。

3.機械翻訳|英語のコミュニケーションに不安なときは…

ここまでオフショア開発を英語で行うメリットを説明してきましたが、いざ英語で開発することを検討したときに、コミュニケーションがうまくできるか、といった不安を覚えることもあるでしょう。

 

そんなとき、機械翻訳ツールを活用することでうまく相手方と意思疎通ができるようになるかもしれません。

 

ここからは、機械翻訳ツールを活用するポイントについて解説します。

 

メールやチャットなど非同期コミュニケーションでやり取りをしているなら、Google翻訳などの機械翻訳ツールを活用することが可能です。

特にSlackやChatworkといったツールは、オフショア開発の現場でも広く利用されており、密にコミュニケーションをとって、物理的距離を感じさせない開発が実現できてきております。

こうした非同期コミュニケーションツールは、やり取りにタイムラグがありますので、相手が言っていることを理解したり、自分が言いたいことをまとめたり、文章にしたりする時間に余裕がうまれます。

 

最近の機械翻訳ツールは、人工知能(AI)技術の劇的な進歩のおかげもあって、精度が急速に向上しています。

 

ただ、いくらツールが優秀だからといっても、日本語をそのままツールにコピペしたり、出力された英訳文を確認もせずにそのままコピペする、という丸投げはおすすめできません。

 

あくまでもツールは助けとなる存在であって、最終的なコミュニケーションの責任は人間にある、という意識が重要です。

入力となる日本語を工夫することで翻訳の精度は向上しますし、それによって自分の意図も明確に相手に伝わるようになります。

 

もし出力された英訳文に違和感があったら、その原因はツールではなく、自分にあるかもしれません。

 

入力となる日本語の原文を見直して、修正すべきところがないか、確認しましょう。

特に以下の内容は注意することをおすすめします。

 

・誤字・脱字がないか

・日本語独特の略語を使っていないか

・二重否定文になっていないか

 

■機械翻訳活用の注意点|誤字・脱字がないか

誤字・脱字がある場合でも、機械翻訳ツールがそれを検知し、それを修正・補完したうえで正しく翻訳してくれる場合もあります。

例えば以下のように誤字があった場合でも正しく翻訳されます。

 

  原文:機会翻訳の訳文が正しくなるよう原文を修正してください。

  訳文:Please correct the original text so that the machine translation is correct.

 

しかしすべての誤字・脱字に対応できる訳ではありませんので、原文を見直して誤りがないことを必ず確認しましょう。

 

■機械翻訳活用の注意点|日本語独特の略語を使っていないか

英語を略した日本語独特の略語を使っている場合、機械翻訳ツールが正しく翻訳できない場合があります。

 

  原文:クレカで決済できる機能の追加をお願いします。

  訳文:Please add a function that allows you to settle with Creca.

 

「クレカ」は「クレジットカード」のことですが、「Creca」となってしまっています。

訳文をそのまま相手に送ってしまった場合、余程の想像力の持ち主でない限り、意味は正しく理解されないでしょう。

 

機械翻訳ツールも精度が非常に高くなっていますので、英語を略した日本語独特の略語を正しく翻訳できる場合もあります。

以下のケースをみてみましょう。

 

  原文:このボタンをクリックして情報をアップします。

  訳文:Click this button to upload information.

 

「アップ」は「アップロード」のことですが、正しく翻訳できています。

 

  原文:スマホアプリはこのフェーズでは開発対象としなくて構いません。

  訳文:The smartphone app does not have to be the development target in this phase.

 

「スマホアプリ」は「スマートフォンアプリケーション」の略ですが、こちらも正しく翻訳できています。

しかし、100%の精度で略語を翻訳できるまでには至っていませんので、原文には略語を使わないよう注意するのが望ましいです。

 

■機械翻訳活用の注意点|二重否定文になっていないか

否定の否定を二重否定と言いますが、これは論理的には肯定の意味になります。

 

ただ、単に肯定するより強い肯定である、といったニュアンスの違いはありますが、そのようなニュアンスを伝えるために二重否定文を使うと、正確に翻訳できないケースがよく起こります。

 

機械翻訳する場合は、肯定文にした上で、ニュアンスは別の手段で伝えるようにした方が正確です。

例えば以下のケースです。

 

  原文:このフォームは管理者が入力できないということがないようにしてください。

  訳文:Please make sure that this form cannot be filled out by the administrator.

 

訳文の意味が反対になってしまいました。

このままですと誤って伝わってしまいますので、肯定文にしたうえで、強調する言葉を追加してみましょう。

 

  原文:このフォームは必ず管理者が入力できるようにしてください。

  訳文:Make sure that this form is fillable by the administrator.

 

なぜか「Please」が消えてしまい、追加した「必ず」のニュアンスは訳文に追加で反映はされていませんが、意味は正しくなりました。

4.注意が必要なIT関係の和製英語

機械翻訳ツールを使う場合はもちろん、直接コミュニケーションをとる場合も気をつけなければならないのが「和製英語」です。

 

和製英語とは、日本人が作り出した、一見英語のように見えるが英語ではない言葉のことです。

 

そもそも英語には存在しない言葉はもちろん、本来の意味とは異なる意味で使われている言葉も含んでいます。

 

和製英語は世界で通用する言葉ではありませんので、日本人以外には意味が通じませんが、かなり身の回りにありふれています。

 

知らないで使ってしまうと、相手に理解してもらえないどことか、最悪の場合、誤って理解されてしまうこともあるかもしれません。

 

ここではシステム開発の現場で思わず使ってしまいそうなものいくつかピックして紹介します。

 

◆SIer

日本人でも馴染みがない方もいるかもしれませんが、「エスアイアー」と読みます。

システムの設計、開発、運用をすべて請け負う企業を意味します。

英語の”System Integrator(システムインテグレータ)”が変化したものと思われます。

 

◆フルスクラッチ

既に存在しているソフトウェアパッケージ等を利用するのではなく、自分たちで一からシステムを構築することです。

英語で”full scratch”というと、傷だらけ、といった意味になります。

日本でいうフルスクラッチの意味合いを伝えたいのであれば、”make something from scratch”などが正しい英語になります。

 

◆バージョンアップ

「ソフトウェアをバージョンアップする」といった文脈で使われますが、実は日本以外では通じません。

“update”、”upgrade”あたりが適切な英語です。

 

◆コストダウン

日本語ではコスト削減という意味合いですが、英語には”cost down”という言葉はありません。

“cost reduction”などが日本語の意味合いに相当する言葉になります。

 

◆オーバースペック

性能等が必要以上に高いことです。

そもそも”spec”が”specification”の略ですが、略語を使わず”over specification”としたとしても正しい意味合いで伝わらない可能性があります。

“over performance”などがより日本語の意味合いに近い言葉となります。

 

◆システムダウン

システム停止を意味する言葉です。

“system is down”という言い回しは出来ますが、”system down”という言葉はありません。

日本語の意味合いに近い言葉としては、”system failure”などがあります。

 

◆デグラデイション

日本語で「デグレ」という単語が一般的でしょう。

過去に修正された不具合が再発してしまったりすることを指します。

この意味合いに相当する英語は”regression”になります。

「リグレッションテスト」というと馴染みがあるのではないでしょうか。

 

◆アンダーバー

「_」のことです。

英語では”underscore”と言います。

気の利く相手であれば何のことを指しているのか察してくれる可能性はあります。

 

◆NG

何か問題が発生した場合などに「NG」と言うのはNGです。

“no good”は通じますが、その略語の「NG」は和製英語なのです。

 

◆フォロー

英語の”follow”の意味で使われる場合もありますが、「ちょっとフォローしてあげて」など、助ける、支援する、という意味合いで使われる場合があります。

この意味合いで適切な英語は”support”や”help”になります。

5.英語での開発におけるフィリピンの優位性

ここまで本記事をお読みいただき、英語でのオフショア開発を検討された方もいるかもしれませんので、オフショア先の国についても触れたいと思います。

 

英語でのオフショア開発というと、アメリカ・シリコンバレーのオフショアとして日の目を浴びてきたインドを考える方が多いのではないでしょうか。

 

しかし、コスト面・技術面の両方でおすすめしたいのが、フィリピンでのオフショア開発です。

 

フィリピンは英語を公用語のひとつとしており、学校の授業も英語で行われています。英語が堪能な人が非常に多く、GlobalEnglish社のビジネス英語指数調査では堂々の世界第1位にランキングされています。

 

また日本ではあまり知られていませんが、その英語力を活かした欧米やオーストラリアなど英語圏向けのオフショア開発が非常に盛んで、多様な経験を積んだ優秀なIT人材が豊富です。

 

いまやオフショア開発の老舗ともいわれるインドに引けをとらない技術・ノウハウが積みあがってきており、コスト面でもより手軽に発注できることから、有望なオフショア開発先となってます。

 

英語をコミュニケーション言語として開発するならば、ぜひフィリピンオフショアを検討してみてください。

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