【2022年版】ベトナムオフショア開発の人月単価相場

公開日:2023/08/04 最終更新日:2023/08/07

2022年の「ベトナム」人月単価(職種別)

人月単価 (万円) プログラマー シニアエンジニア ブリッジSE PM
ベトナム 31.73(+24.6%) 39.88(-7.2%) 51.34(+5.6%) 57.94(-7.5%)

括弧内の数値は昨対比

※ プログラマー:コーディングや簡単なシステム開発を担当
※ シニアエンジニア:システム設計や開発を担当
※ ブリッジSE:ビジネスサイドとエンジニアサイドを繋ぐ役割を担うエンジニア
※ PM(プロジェクトマネージャー):プロジェクトにおける計画と実行の責任者

 

ベトナムの人月単価は上記の表となっております。

 

プログラマー31.73万円(昨年度比96.7%)、シニアエンジニア39.88万円(昨年度比92.8%)、PM(プロジェクトマネージャー)57.94万円(昨年比92.5%)と、昨年に比べて単価が減少に転じています。

 

ブリッジエンジニア51.34万円(昨年度比110.4%)の職種のみ、若干単価が上昇傾向となりましたが、どの職種においてもエンジニアが豊富であるため、全体として単価上昇が抑えられていると考えられます。

 

本記事の単価情報は『オフショア開発白書(2022年版)』(オフショア開発. com 発行)から引用しています。

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ベトナムオフショア開発単価の特徴について

ITリソースが質・量ともに充足しつつある「ベトナム」

 

プログラマーとシニアエンジニアの2つの職種で単価が減少に転じていることは注目すべきポイントです。

 

比較的経験年数が少ない人材の単価が低下しているのは、ベトナムのIT教育が盛んであり、豊富な若いエンジニアが市場に供給されていることが背景です。ベトナム政府では、日本国内のIT需要を担うべく、国策としてIT教育に注力しています。

 

また、多くのオフショア開発企業が、ホーチミン工科大学やハノイ工科大学など優秀なITエンジニアを輩出している大学や専門学校と提携することで、安定的にエンジニアを調達できるように取り組み、日本からの受託開発を拡大していっています。こうしたサイクルがうまく回り出していることが表から読み取れます。

 

都市別にみる開発単価の特徴

 

さらに、ホーチミンやハノイに加え、ダナン、フエといった新興都市が台頭しており、単価も割安です。案件内容や案件規模によって単価は左右されますので、一概には言えませんが、今後はベトナム国内でもどの都市に開発を委託するかで単価が変わってくることが考えられます。

 

また都市によって企業の傾向も変わってきます。例えば、ハノイの方が日本市場をターゲットにするオフショア開発企業が多く、ホーチミンでは欧米をターゲットとする企業が多いです。自社の開発プロセスや企業文化などによっては、付き合いやすい企業がハノイ、ホーチミンのどちらに多いかを想定できるので、候補都市を絞って検討するケースもあります。

 

上位職種(ブリッジSE・PM)の動向

 

全体的に単価が抑えられているベトナムですが、ブリッジSEは価格が上昇しています。ブリッジSEは、文化の壁を越えるコミュニケーション能力、技術に関する知識、プロジェクトを管理する能力がそれぞれ求められ、簡単に務めることはできない役割です。ITリソースが豊富なベトナムですが、日本市場からの需要の大きさに対して、ブリッジSEはまだまだ希少であり、単価が上昇傾向にあると考えられます。

 

PM人材に関しては、単価が低下していることから、プロジェクトマネジメントのできるような上位職の人材も育っており、品質管理においてもベトナムが秀でていると言えそうです。また、開発実績の蓄積により、開発スピードもますます向上していくでしょう。

ベトナムのオフショア開発市場の動向

オフショア開発の発注先は「国」ではなく「企業」で選ぶのがトレンドになってきていますが、依然としてオフショア開発を新規で導入する企業が選ぶ国で最も人気なのはベトナムとなっています。

 

最近の傾向では、ますます国家としてIT人材の育成に力を入れてきており、「リソースの確保」という点からも文句なしの状況です。また、一部の学校で、第二外国語として日本語を扱う試験的な取り組みがなされたりなど、国として日本とのビジネスを重視していることもあり、日本語人材も豊富となっています。

 

また、多くの案件を受け入れてきた結果、以前は対応できる企業が少なかった基幹システム / AIやブロックチェーンなどの先端テック / PKG開発(SAP / Salesforce / kintone…)といったより高度な案件に対応可能な企業が増加している点も特筆すべきでしょう。

 

また、ベトナムオフショア開発企業が急増していることに伴い、ベトナム現地ではオフショア開発企業間での「差別化」が大きなテーマとなっているのが近年のトレンドです。発注側となる日本企業にとって、今や「選択肢が多すぎる」といっても過言ではない状況です。「発注企業にとって、いかにマッチした強みを持っているのか」を訴求するべく、各社がブランディング・マーケティング戦略に注力することで、各社の特徴や強み・弱みが明確化してきています。各社の差別化の一例としては、次のようなものがあります。

 

 ・特定の技術領域に専門特化(例:Rubyでの開発に特化、等)

 ・柔軟な開発体制(例:即日ラボ立ち上げ、月次でリソース調整可能なラボ提供、等)

 ・開発フェーズを超えた開発支援(例:企画・上流工程からの支援、開発後の運用・マーケティング支援、等)

 

このように選択肢の幅が広くなっていることは、ベトナムがオフショア開発先に選ばれる大きな要因になっているはずです。そのため、自社と相性の良い会社を見つけやすい素地があると言えます。ただし、選択肢が多く、各社ごとに特徴が明確であるために、発注先は「国」ではなく「企業」で選ぶ、という発注トレンドも同時に広がりつつあります。

他国と比較したベトナムオフショア開発単価

人月単価 (万円) プログラマー シニアエンジニア ブリッジSE PM
中国 42.09(+1.2%) 52.06(+1.1%) 84.78(+15.4%) 85.77(-5.2%)
ベトナム 31.73(+24.6%) 39.88(-7.2%) 51.34(+5.6%) 57.94(-7.5%)
フィリピン 36.25(+6.9%) 49.63(+3.7%) 71.07(+6.6%) 65.83(-11.0%)
ミャンマー 24.47(-10.3%) 37.89(+1.6%) 48.59(+18.1%) 62.81(-2.1%)
バングラデッシュ 29.64(+25.2%) 39.64(+40.1%) 69.64(+18.2%) 46.07(-28.7%)
インド 34.72(+4.1%) 51.56(+7.8%) 67.97(+23.8%) 83.90(+8.9)

上記の表が他国と比較したベトナムオフショア開発の単価表です。

 

ご覧の通り、全体的に安価な水準に単価が抑えられており、上位職種になっても価格の上昇幅は大きくありません。

 

例えば、ミャンマーやバングラデシュでは、プログラマーとシニアエンジニアでベトナムよりも単価が抑えられていますが、ブリッジSEやPMの単価では逆転してしまいます。コストメリットを考える上で、自社の開発案件で必要となるエンジニアの職種も考慮することで、より有望な国が見えてくるでしょう。

 

また、中国・インドにおいては、IT市場が成熟していることもあり、全体的に単価が高い傾向にあります。人件費は高い一方で、高い能力をもつエンジニアが多いとも捉えられます。単価が高くても高い能力ゆえに、工数をかけずに開発ができて、結果としてコストメリットが出るケースもあります。ただ、最近ではベトナムも先端テクノロジー(AI・IoT・ブロックチェーン等)や基幹システム、大規模業務システムなどの難しい開発の実績が増えてきていますので、ベトナムで高いスキルをもつエンジニアを探すことも比較的容易にできるようになってきています。

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日本国内ではエンジニア不足解消の兆しは見えません。

 

一方でベトナムではホーチミン工科大学、ハノイ工科大学など優秀なITエンジニアを輩出する教育機関が増えており、ベトナム政府は対日本向けのオフショア開発に力を入れております。

 

ぜひ豊富なベトナムITエンジニアを活用したオフショア開発のご検討を進めていただければと思います。海外に目を向ければ、国内に限って探すよりもより多くの優秀な人材に出会えますし、国や地域によっては国内よりもコストを抑えた開発が可能です。

 

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オフショア開発人月単価の実態調査概要

 − 調査内容 『オフショア開発に関するアンケート調査』
 − 調査主体 オフショア開発. com(株式会社Resorz)
 − 調査方法 インターネットによる自主調査
 − 調査対象 オフショア開発・海外BPO会社150社
 − 調査期間  2022年2月21日 - 3月25日

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オフショア開発.com 編集部

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